スティーブ・モリヤマ氏のイギリス英語は落とし穴だらけを読んだ。この前はてなブックマークを見ていたら、次のエントリーがあり、
はてなブックマーク - Chart shows 'what the British say, what they really mean, and what others understand' | The Independent
この本のことを思い出したから。この本の最初の文章からして驚かされる(その文章は上のページにも書かれている)。
聞いているよ→聞きたくない
I hear what you say.
この文章を何の前知識なしに見たり聞いたりしたときにはきっと「君のいうことはわかる」的な意味だと思ってしまうだろうが、実際は正反対で「私の意見は違う。この話はもうしたくない」という意味だというのだ。イギリス人恐るべし。どこで意味がすり替わってしまったのだろうか?
あと、こんな表現も紹介されている。
There are no buts about it. (しかしもかかしもない) <きつい表現なので注意>
I will bear it in my mind <心にとどめておくよと言いつつ、興味がないことの婉曲表現>
自虐のイギリス人
I mange to ~
の~以下に失敗したこと・うまくいかなかったことを続けるのだ。たとえば、
I've manged to miss the appointment.
これも、前提知識がないと何を言いたいのかわからない表現で、「うっかり~してしまった」ということを表現する方法らしい。
Lovely
イギリスに行くとよく耳にするのがこのlovelyだ。女性だけではなく、男も普通に使っている。最初、おじさんが「lovely」と言っているのを耳にしたときは、この人はアッチ側の人なのかと思ったが、意味しているのは単に「good」ぐらいのことだ。
控えめ(?)のイギリス人
以下の2つも知らないと、意味を取り違えてしまうパターンだ。
I was a bit disappointed.
I was slightly surprised.
両方ともかなり不満に思っている場合に使うのだが、不満に思っていること自体も控えめに表現することで、文字どおりの意味ではなくなってしまっている。
以下の文章も、意味を取り違えてしまう。
I'm sure it's my fault.
日本人なら自分のせいだと告白していると思うが、アメリカ人は第三者のせいにしていると思い、イギリス人は「お前のせいだ」と告発しているのだ。
2017.3.9追記
以下のようなページを見つけた。
5 Ways Customers Complain Indirectly
ここの'4. The self-deprecating customber'が興味深い。要するに、「仮に自分のせいで問題が起きたとしても、何か改善できることがあるのではないのですか?」ということを婉曲に表現しているというのだ。これが正解かどうかわからないが、これが正しいとすると、表現自体はそんなに強いものではなのかもしれない。
supposeの思い
イギリス人のsupposeも曲者らしい。'I suppose'は「本当は疑いが残っているが」という感情が含まれている。
もう一杯お茶が欲しい
よく考えればわかるけれども、とっさに言われると、「?」となってしまう表現、やんわりともう一杯お茶を要求する場合に使う。
I wouldn't mind a cup of tea.
公立学校・私立学校
イギリスでは良家の子女が集まる伝統的な私立のエリート校を'public school'と呼ぶ。どうやらイギリスの富裕層・上流階級の教育では、自宅に家庭教師を招く'private school'が基本だったようだ。その対極にあるのが、家の外にある学校なので'public school'となったようだ。これは完全にアメリカ英語とは逆の意味となっている。
フェアーではないというときに、次のようにクリケットを引き合いに出すようだ。
It's just not cricket.
ほとんどの人にはクリケットはなじみがないので、こんなこと言われても、意味が分からないだろう。
これ以外にも、本書にはイギリス英語ならではの表現がたくさん掲載されている。
イギリス英語は落とし穴だらけ
ス
ティーブ・モリヤマ
2016/1/20