隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

さらば愛しき魔法使い

東川篤哉氏の「さらば愛しき魔法使い」を読んだ。本書は魔法使いマリィシリーズの三巻目。本巻には以下の四編が収録されている。 魔法使いと偽りのドライブ 弁護士の犯罪 魔法使いと聖夜の贈り物 映画評論家の犯罪 魔法使いと血文字の罠 バーオーナーの犯罪 …

魔法使いと刑事たちの夏

東川篤哉氏の「魔法使いと刑事たちの夏」を読んだ。こちらは魔法使いマリィシリーズの2作目。前作の最後で、マリィーは小山田刑事の家に住むことになったのだが、本書ではその通りに、無駄に大きく近所の悪ガキからは幽霊屋敷と呼ばれている家に家政婦とし…

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

東川篤哉氏の「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」を読んだ。本書は魔法使いと刑事が登場するミステリーだ。魔法使いが登場してミステリーが成立するのだろうかという危惧もあるが、本書は倒叙ミステリーになっていて、犯人自体は物語の最初で明らかになって…

ニルヤの島

柴田勝家氏のニルヤの島を読んだ。人体通信機構と繋がった生体受像により、人間のありとあらゆる生体活動が記録できるようになった時代では、記録された情報からいつでもその人の人生を叙述することが可能になり、その人が死んだ後にも、その人の人格に触れ…

伊藤計劃トリビュート

伊藤計劃トリビュートを読んだ。TAKさんが、伊藤計劃トリビュートの紹介をしていて、面白そうだったので読んでみた。tak-thinking-room.hatenablog.com 「テクノロジーが人間をどう変えていくか」という問いを内包したSFであること をテーマとした8編が収録…

マインド・タイム 脳と意識の時間

ベンジャミン・リベットの「マインド・タイム 脳と意識の時間」を読んだのだが、非常に残念だった。この本で語られることは以下の2点である(本書P232より抜粋)。 被験者は脳内の感覚伝導路(上行路)に電気的な刺激を受けます。十分に長い時間継続する連発した…

遠縁の女

青山文平氏の遠縁の女を読んだ。本書には短編集で、表題作の他に「機織る武家」、「沼尻新田」が収められている。面白かったのは、「機織る武家」と「遠縁の女」だ。機織る武家は主要の登場人物の関係がまず面白い。家付きの娘であった姑、その娘婿由人、由…

キネマ探偵カレイドミステリー

斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリーを読んだ。タイトルから分かるように映画を題材にしたライトなアームチェアーディテクテブミステリー。短編が4編収録されている。大学生の奈緒崎はドイツ語の単位を救済してもらう代わりに、教授から引きこもりの…

家康、江戸を建てる

門井慶喜氏の「家康、江戸を建てる」を読んだ。タイトルからすると家康が主人公のような印象を与えるが、本書は連作短編小説で、実は家康は脇役でしかなく、家康が江戸の入府する際に江戸のインフラ等を作った男たちの物語だ。五編の物語が収められている。 …

汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師 インテリジェンス畸人伝

手嶋龍一氏の「汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師 インテリジェンス畸人伝」を読んだ。手嶋氏は元NHK職員で、気付いたらいつのまにかNHKを辞めていた。辞めたのが2005年ということだから、もう12年も前のことだ。年齢的にもNHKの定年に達していたの…

図書館の魔女 烏の伝言

高田大介氏の図書館の魔女 烏の伝言を読んだ。本書も厚く、658ページもある大ボリュームだ。ただ、本作は上下巻ではなく、本巻のみ。前作の図書館の魔女の終わりの所は次に続く物語のプロローグ的な感じになっていたので、その続きの話なのだろうかとも思っ…

ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇

初野晴氏のひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇を読んだ。映画が公開されたから、それに合わせて出版されたのだろうと想像する。4編プラス短い掌編が収録されていて、番外編と銘打つだけあって、普門館を目指す吹奏楽部の活動から離れて、吹奏楽部のメンバーから…

図書館の魔女(下)

高田大介氏の図書館の魔女(下)を読んだ。上巻では後半に刺客に襲われ物語が大きく動き出すかと思いきや、下巻の進行も緩やかに動き出していく感じだった。まず、マツリカは魔術書・錬金術書を類をこき下ろし、禁書にするなど馬鹿馬鹿しいと一蹴するの所から…

図書館の魔女(上)

高田大介氏の図書館の魔女(上)を読んだ。本書はとにかく厚い。ページ数で652ページあり、厚さからすると、2冊分ぐらいに相当するのではないだろうか。上巻には第一部と第二部が収録されている。しかし、この上巻では、ようやく物語が動き出したところで、今…

エンド・ゲーム―常野物語

恩田陸氏のエンド・ゲーム―常野物語を読んだ。これは光の帝国 常野物語 - 隠居日録中のオセロ・ゲームの続編で、長編小説である。物語は前作の数年後、拝島時子が大学4年生の12月から始まる。時子は母親の暎子が出張先で倒れたという知らせを受け、動転しな…

メビウス・ファクトリー

三崎亜記氏のメビウス・ファクトリー を読んだ。政府が、「今後、すべての地方都市を維持することはできなくない」と切り捨て宣言をした世界の物語。すでに放棄された地方自治体も存在し、そこには姥捨ての老人達、国の支配を是としない自由主義者、ワーキン…

メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-

高橋宏知氏のメカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする-を読んだ。どちらかというと読み物的な本なのかと思って読み始めたのだが、それよりは専門的な内容で、残念ながら深く理解できたとは言えない。著者は機械系の学生であったにもかか…

光の帝国 常野物語

恩田陸氏の光の帝国 常野物語を読んだ。本書は不思議な力を持つ常野の一族の連作短編集だ。収録されているのは10編で、中には登場人物が重なり合って、関連性を持っているものもあるが、それ自体が独立している作品もある。常野の一族は宮城県のどこかに住ん…

ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力

大西 泰斗先生のネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力を読んだ。当たり前なのだが、今までにNHKの英語番組で見た内容とほとんど同じので、復習というような読書となってしまったが、以下の2点が気付きだった。 倒置は感情 どうも私は倒置の文章に弱いとい…

参勤交代

山本博文氏の参勤交代を読んだ。目次 参勤交代制度の成立 参勤の手続き 参勤交代中のトラブル 明石源内寝覚鉄砲 他藩とのすれ違い 脇本陣をめぐるトラブル 参勤交代の終焉 参勤交代制度の成立 徳川家康は当初必ずしも全国の大名と主従関係を結んでいたわけで…

決戦!関ヶ原

決戦!関ヶ原を読んだ。本書は関ヶ原の合戦にちなんだアンソロジー時代小説だ。収録作品、作者、主人公は以下の通り。 人を致して 伊東潤 徳川家康 笹を噛ませよ 吉川永青 可児才蔵 有楽斎の城 天野純希 織田有楽斎 無為秀家 上田秀人 宇喜多秀家 丸に十文字 …

錯覚の科学

クリストファー チャブリス、 ダニエル シモンズの錯覚の科学を読んだ。この本を読むと自分が見ているもの、記憶しているもの、理解しているものが本当なのかどうかわからなくなっていくる。本書の中には6つの錯覚が説明されている。 注意の錯覚 記憶の錯覚 …

応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱

呉座勇一氏の「応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱」を読んだ。「富子は我が子を将軍にしようと画策して乱を引き起こした」などという説も、最近では違ってきているようで、日野富子の影響も限定的であったらしい。自分の子を将軍にしたかったことは確かなよう…

ITエンジニアのための機械学習理論入門

中井悦司氏のITエンジニアのための機械学習理論入門を読んだ。最近はやりの深層学習ではない機械学習なので、タイトル通り本当入門書といった感じだ。カバーしている内容も、 最小二乗法 最尤推定法 パーセプトロン ロジスティっク回帰とROC曲線 k平均法 EM…

Self-Reference ENGINE

円城塔氏のSelf-Reference ENGINEを読んだ。例外小説の中からピックアップした本の中の一冊である。 本作には22編の短編が収められており、それぞれ関連しているようで、関連していないかもしれない。同じ名前を与えられている登場人物が登場する話もあるが…

ケレスの龍

椎名誠氏のケレスの龍を読んだ。本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇を読んだら、椎名氏の小説も久しぶりに読んでみたくなり、読書予定リストの中にあったケレスの龍を手にとってみのだ。 本作は、武装島田倉庫につながる世界の話で、半島での北南戦争後物語とな…

本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇

椎名誠氏・目黒孝二氏の本人に訊く〈壱〉よろしく懐旧篇を読んだ。1995年前後だったと思うが、私はしきりに椎名氏の本を読んでいた記憶がある。気が付くともう20年以上昔の話だ。当時読んでいた本を含む大半の本は10年ちょっと前に、溜まり続ける書籍の山に…

歌丸 極上人生

桂歌丸師匠の歌丸 極上人生を読んだ。本書は2006年に刊行された「極上 歌丸ばなし」を2015年に文庫化する際に加筆・訂正して出版されたもの。歌丸師匠の生い立ちとか、落語家としての修業時代・笑点の話、趣味の話が書かれている。文章を読むと話し言葉にな…

イギリス英語は落とし穴だらけ

スティーブ・モリヤマ氏のイギリス英語は落とし穴だらけを読んだ。この前はてなブックマークを見ていたら、次のエントリーがあり、 <div class="hatena-bookmark-detail-info"><a href="http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/chart-shows-what-british-people-say-what-they-really-mean-and-what-others-understand-a6730046.html">Chart shows 'what the British say, what t…</a></div>

404 Not Found

法条遥氏の404 Not Foundを読んだ。例外小説で紹介されていた小説の中の一編だ。 池上裕也は2回死んだ。クラスメートの九条晶に告白し、振られ、そして父親の経営する会社のビルの屋上から飛び降りて、自殺した。しかし、なぜか同じ朝を3度繰り返してしまう…

鉄砲隊と騎馬軍団

鈴木眞哉氏の 鉄砲隊と騎馬軍団 真説・長篠合戦を読んだ。この本には今まで疑問に思っていたことに対するズバリの回答を提示されたという印象だ。「真説・長篠合戦」という副題がついているが、長篠の合戦の個々の詳細を語る本ではなく、長篠の合戦において…

ロートケプシェン、こっちにおいで

相沢沙呼氏のロートケプシェン、こっちにおいでを読んだ。本書は午前零時のサンドリヨンの続編だ。本書も連作短編となっており、5編が収録されているのだが、メインのストーリーの前に「トモ」と呼ばれている少女のモノーローグ文が挿入されており、その少女…

午前零時のサンドリヨン

相沢沙呼氏の午前零時のサンドリヨンを読んだ。本作は第十九回鮎川哲也賞受賞作だ。本書には四編が収められており、連作短編の形式になっている。 高校一年の須川が一目ぼれしたクラスメート酉野初はマジシャンだった。レストランバー「サンドリヨン」で客に…

砕け散るところを見せてあげる

竹宮ゆゆこ氏の砕け散るところを見せてあげる。本書の出だしは次の一文から始まる。 「つまりUFOが撃ち落されたせいで死んだのは二人」 竹宮ゆゆこ氏というととらドラ!のイメージが強かったのだが、これはSFなのかと誤解してしまった。本作は最初の方はラブ…

籠城 戦国時代に学ぶ逆境のしのぎ方

榎本秋氏の籠城 戦国時代に学ぶ逆境のしのぎ方を読んだ。この本も「いったい戦国時代はどのように兵士は戦っていたのだろうかという」疑問の答えを探すために読んだ。本書は第一部と第二部という構成になっており、第一章には「城の分類と歴史」、「城の作り…

真実の10メートル手前

米澤穂信氏の真実の10メートル手前を読んだ。これも語り手の視点は作品ごとに異なるが、大刀洗万智シリーズの作品だ。短編集で6作品収録されており、表題作の「真実の10メートル手前」のみが新聞社勤務時代の設定で、それ以外は新聞社を辞めてフリーになった…

王とサーカス

米澤穂信氏の王とサーカスを読んだ。さよなら妖精から10年後、大刀洗万智は務めていた東洋新聞社を辞め、フリーのジャーナリストになったばかりだった。フリージャーナリストとして雑誌の旅行記事の仕事をする予定になっていたが、仕事が始まるまでまだ時間…

さよなら妖精

米澤穂信氏のさよなら妖精を読んだ。主な登場人物は守屋路行、大刀洗万智、白河いずる、文原竹彦、そしてマーヤ。守屋と大刀洗は雨の降る日に偶然雨宿りしていたマーヤと出会う。そこから物語が始まった。だが、語られる物語は時間軸をさかのぼることになる…

「戦闘報告書」が語る日本中世の戦場

鈴木眞哉氏の 「戦闘報告書」が語る日本中世の戦場を読んだ。いつのころだろうか覚えていないのだが、いったい戦国時代はどのように兵士は戦っていたのだろうかという疑問が湧いてきて、それに関して本を読んで調べている。それで、自分の興味を満たすために…

日記堂ファンタジー

堀川アサコ氏の日記堂ファンタジーを読んだ。主人公は日記を売る店「日記堂」の女店主、紀猩子。何とも不思議な雰囲気を出している女性だ。狂言回しは、そこでアルバイトする3浪して大学生になった友哉。友哉は最初猩子が持っている茶畑で勝手に茶を摘み、そ…

いちいち“他人”に振り回されない心のつくり方

中島美鈴氏のいちいち“他人”に振り回されない心のつくり方を読んだ。私は隠居の身で、社会とはある種隔絶していて、他人に振舞わされるということはないのだが、「認知行動療法」というものにちょっと興味を覚えたので読んでみた。 本書では「同じ出来事なの…

壁の男

貫井徳郎氏の壁の男を読んだ。物語は栃木県北東部に位置するある町をフリーライターの鈴木が取材に訪れるところから始まる。その町は町全体の民家の壁に絵が描かれていることがSNSで拡散し、有名になっていた。しかしその絵は子供が書いたような稚拙な絵だっ…

「火附盗賊改」の正体

丹野顯氏の「火附盗賊改」の正体を読んだ。2017年の1月からアニメで鬼平を放送していて、それを見たら2つほど気になるところがあり、本書で調べてみた。気になったところとは、(1)長谷川平蔵が自分のことを「火付盗賊改めの長官」といったところと、(2)屋敷…

向こう側の遊園

初野晴氏の向こう側の遊園を読んだ。本書は何とも不思議なミステリーだ。閉演して打ち捨てられた遊園地の花園を管理するする青年がいる。その花園には動物のための秘密の霊園があり、青年が管理している。青年は依頼者から話を聞き、埋葬する代わりに一番大…

図説「合戦図屏風」で読み解く!戦国合戦の謎

小和田哲男氏監修の図説「合戦図屏風」で読み解く!戦国合戦の謎を読んだ。この本を読む前は、合戦図屏風から「戦国合戦の謎」が読み解けるのかと思ったのだが、実はそんなに単純な話ではなく、やはり謎は謎のままであった。 「はじめに」に以下のように書か…

ゼロから作るDeep Learning

斎藤康毅氏のゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装を読んだ。巷で良書として名高い本で、実際読んでみて、その評価には納得できた。この本に書かれていることが全て記憶に定着できているわけではないので、何かをすぐに作…

カムパネルラ

山田正紀氏のカムパネルラを読んだ。本書のタイトルから分かる通り、この小説は宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」と密接に関係している。 我々の世界と似ているけれどもちょっと違った世界での物語。16歳のぼくは母の遺言を履行するために、新幹線で岩手県の花巻に…

最長不倒距離

都筑道夫氏の最長不倒距離を読んだ。本書は物部太郎シリーズの2作目だ。この本も過去の何度か読んでいるが、久しぶりに読み返してみた。 一作目の最後の所で、物部太郎の父親が勝手に引き受けてしまった捜査をするために、片岡直次郎と物部太郎は長野県のス…

七十五羽の烏

都筑道夫氏の七十五羽の烏を読んだ。この本は既に数回読んでおり、今回久しぶりに読んだ。 ものぐさ太郎の子孫を自称する働くことが大っ嫌いな物部太郎が、父親からの働けというプレッシャーをかわすために、何でも屋の片岡直二郎に依頼して開設したゴースト…

マーク・ピータセンの図解英文法入門

マーク・ピータセンの図解英文法解説を読んだ。未だにたまに英語熱が発生して、英語を勉強したくなるサイクルがたまにやってくる。今年の夏も、大西先生が昔NHK教育でやっていたハートで感じる英文法のビデオが出てきて(存在すらすっかり忘れていた)、改めて…