隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

読書

動的平衡2 生命は自由になれるのか

福岡伸一先生の「動的平衡2 生命は自由になれるのか」を読んだ。本書の出版は2011年なのでそれからもう6年も経過しているので、内容が古くなっているのかもしれない。できればこちらも新版として内容の加筆修正をしたものを出してもらえないだろうか? アミ…

虹を待つ彼女

逸木裕氏の虹を待つ彼女を読んだ。本書は第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作で、2016年9月に刊行された。プロローグでにおいて、2014年12月、ゲーム開発者の水科晴がドローン搭載された銃に撃たれて、死ぬ場面からストリーは始まる。その銃撃は水科晴が自身が…

脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議

ジュリア・ショウの 脳はなぜ都合よく記憶するのか (原題 The Memory Illusion)を読んだ。錯覚の科学 - 隠居日録を読んだときにも感じたことがまた蘇るような感じだ。我々が覚えていると思っていることは、本当のことなのだろうか?著者によると記憶の改変と…

江戸三〇〇年 あの大名たちの顚末

中江克己氏の江戸三〇〇年 あの大名たちの顚末を読んだ。私が子供の頃は「徳川三百年」などと言われることが殆どだったが、江戸時代は300年もなく、250年ぐらいしかないので、最近はあまり聞かれることが亡くなった。しかしながら本書のタイトルは300年とな…

ぼくらが漁師だったころ

チゴズィエ オビオマのぼくらが漁師だったころ(原題 The Fishermen)を読んだ。チゴズィエ オビオマはナイジェリア出身の作家で、本作品は1996年のナイジェリアのアクレに住むアグウ家に起こった悲劇を描いている。前年の暮れに銀行員の父親が単身赴任になり…

オブリヴィオン

遠田潤子氏のオブリヴィオンを読んだ。本の雑誌の2017年12月号で北上次郎氏が絶賛していた(2ページのうち、本作の紹介で半分を費やしているぐらいの熱の入れよう)ので読んでみたのだが、これはなかなか読ませる小説だった。物語は吉川森二が出所しているとこ…

私たちが姉妹だったころ

カレン・ジョイ・ファウラーの私たちが姉妹だったころ(原題 We Are Completely Beside Ourselves)を読んだ。この物語はローズマリー・クックとその家族に起きた出来事の物語である。物語はローズマリーの流儀に従って物語の真ん中か語られ始める。1996年の冬…

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

福岡伸一先生の「 新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか」を読んだ。本書は2007年に刊行された「動的平衡」を新書化するにあたり、その後の研究成果を反映させて加筆・訂正された「新版」である。 動的平衡とは 福岡先生というと「動的平衡」という言葉…

しあわせな死の桜

竹本健治氏のしあわせな死の桜を読んだ。この本は短編集になっており、12編収録されている。収録作品は、「夢の街」、「彼ら」、「依存のお茶会」、「妖と碁を打つ話」、「羊の王」、「瑠璃と紅玉の女王」、「明りの消えた部屋で」、「ブラッディー・マリー…

クリスパー CRISPR 究極の遺伝子編集技術の発見

ジェニファー・ダウドナ及びサミュエル・スターンバーグの「クリスパー 究極の遺伝子編集技術の発見」(原題 A Crack in Creation: Gene Editing and the Unthinkable Power to Control Evolution)を読んだ。多分ニュートンなどの科学雑誌で「遺伝子編集技術…

植物はなぜ薬を作るのか

斉藤和季氏の植物はなぜ薬を作るのかを読んだ。著者は薬と書いているが、実際に植物が作っているのは化学物質で、それをわれわれが、役に立つものは薬、害になるものは毒と称しているだけである。このことを著者は明確には書いていないが、 植物は厳しい進化…

江戸時代役職事典

江戸時代役職事典を読んだ。タイトルは「江戸時代役職事典」となっているが、中身は「役職編」、「制度編」、「ひとと役職編」に分かれている。また、巻末に「江戸幕府役職要覧」が付録として採録されているが、この要覧に列挙されているすべての役職が、前…

Ank: a mirroring ape

佐藤究氏のAnk: a mirroring apeを読んだ。本作は470ページを超える大作だ。昔何かの本で、日本語のサルに相当する英語は二つある。一つはmonkeyで、もう一つはapeである。その使い分けは、尻尾があるのがmonkeyで、尻尾がないのがapeであるというのを読んだ…

軍需物資から見た戦国合戦

盛本昌広氏の軍需物資から見た戦国合戦を読んだ。本書では軍需物資の中で主に木材という観点から戦国時代の合戦を研究した本である。あくまでも本書の主役は軍需物資なので、具体的な合戦の進行に関しては多くは語られていない。木・竹は様々な用途で合戦に…

エクソダス症候群

宮内悠介氏のエクソダス症候群を読んだ。精神科医のカズキ・クローネンバーグは再び火星の地を踏むことになった。かっつては日本の大学病院に勤務していた。カズキの恋人はその大学の教授の娘であったが、突発性希死念慮のために縊死による自殺を選んだ。そ…

巨神計画

シルヴァン・ヌーヴェルの巨神計画(原題 Sleeping Giants)を読んだ。本書は上下巻に分かれている。後に物理学者のローズ・フランクリンは十一歳の誕生日の日にサウスダコタ州の片田舎の森の中で穴に落ち、そこにイリジウム合金でできた強大な手を発見した。…

私たちはどこから来て、どこへ行くのか: 科学に「いのち」の根源を問う

ドキュメンタリー映画監督の森達也氏の「私たちはどこから来て、どこへ行くのか: 科学に「いのち」の根源を問う」を読んだ。本書は森氏が科学者と「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」をテーマに対談した内容をまとめたものである。ただ、単に対談した…

彼女がエスパーだったころ

宮内悠介氏の彼女がエスパーだったころを読んだ。本書は不思議な味わいのある短編集になっている。収められているのは、「百匹目の火神」、「彼女がエスパーだったころ」、「ムイシュキンの脳髄」、「水神計画」、「薄ければ薄いほど」、「沸点」の六編だ。…

外来種のホント・ウソを科学する

ケン・トムソンの外来種のウソ・ホントを科学する(原題 Where Do Camels Belong?)を読んだ。今年の夏は日本でもヒアリが確認されて、外来生物のことがニュースに取り上げられることも多かった。外来生物というと、どうも不法外国人やら不法難民と関連させて…

あしたはひとりにしてくれ

竹宮ゆゆこ氏のあしたはひとりにしてくれを読んだ。主人公の月岡瑛人は東京都内の難関と言われている男子校の高校二年生。子供の頃から親を困らせることもなく育ってきて、「いいこ」で過ごしてきた。そんな瑛人はおばけに見られている感覚にとらわれていた…

慶安の触書は出されたのか

山本英二氏の慶安の触書は出されたかを読んだ。タイトルから推測するに、慶安の触書は出されなかったというのが筆者の主張であろうというのは読む前にわかってたが、では「慶安の触書」と呼ばれていたものは一体何だったのだろう?後世につくられた偽書なのだ…

QJKJQ

何かの折に面白そうな本を見つけたときは、だいたいamazonのほしいものリストに追加しておく。多数溜まってきたら、エクセルのシートにコピーする。ほしいものリストは全ての本がいっぺんに見られないからだ。本を読もうと思った時はだいたいそのエクセルの…

騙しの天才―世界贋作物語

桐生操氏の騙しの天才―世界贋作物語を読んだ。タイトルに「世界贋作物語」とついているので、美術品に関する贋作の話が収録されていると思ったのだが、実際は詐欺師・ペテン師の話が殆どで、美術品に関する贋作の話は、 フェルメールの贋作者 モナ・リザ盗難…

朝井まかて氏の眩を読んだ。NHKで葛飾北斎の娘応為をモデルにしたドラマを放送していて、面白かったので原作を読んでみた。NHKのドラマは75分ほどの時間なので、原作のほんの一部分を取り出して再構成をしたような印象だ。原作はお栄の結婚生活が破たんする…

一次史料にみる関ヶ原の戦い(改訂版)

高橋陽介氏の一次史料にみる関ヶ原の戦い(改訂版)を読んだ。本書は2015年に自費出版した「一次資料にみる関ヶ原の戦い」を増補・改定した本である。著者は一次資料を読む際の心がけとして、 関ヶ原の戦いが徳川と豊臣の戦いであるという先入観、あるいは関ヶ…

疾れ、新蔵

志水辰夫氏の「疾れ、新蔵」を読んだ。時代小説という体裁をとっているが、読んでみた印象では、どちらかというと冒険小説だと感じた。目指すは越後岩船の春日荘。主人公の新蔵は酒匂家での須河幾一郎の急死の方に接し、かねてから打ち合わせていた通り、江…

ゲームの王国

小川哲氏のゲームの王国を読んだ。このSF小説は一体どう理解すればいいのだろう? 本書は上巻・下巻に分かれており、上巻は約400ページ、下巻は約360ページの紛れもない大長編なのだが、上巻を読む限りは、これをSF小説と呼んでいいのだろうかと、疑問が湧い…

先生、それって「量子」の仕業ですか?

大関真之氏の「先生、それって「量子」の仕業ですか?」を読んだ。量子力学に興味があるが、難しい本を読んでも理解が追い付かないと思い、初心者向けの本を選んだのだが、あまりにも初心者向けで、あまり得るところがなかった。本の選択はなかなか難しい。興…

半席

本書には「半席」、「真桑瓜」、「六代目中村正蔵」、「蓼を喰う」、「見抜く者」、「役替え」の六編が収められている。実は表題作の半席は約定 - 隠居日録にも収められており、どういうことだろうと思っていたのだが、実は本作はその登場人物の片岡直人を主…

映画は撮ったことがない ディレクターズ・カット版

神山健治監督の映画は撮ったことがない ディレクターズ・カット版を読んだ。本書は以前に出版されていたものに、庵野秀明監督との対談を新たに収録し(その代り押井守監督・中島哲也監督との対談を割愛)し、映画を生む本棚を追加したものだ。神山監督はなんと…