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隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

天災から日本史を読みなおす

磯田先生の本だ。本書の本来の趣旨は、古文書などに残る災害に関する記述を掘り起こし、防災に役立てようということだと思うのだが、そういうこととは関係なく第一章が面白そうなので、購入した。買ったのは去年の秋ぐらいで、第一章と第二章の途中まで読んで、そのあと読んでいなかったものだが、今回の熊本の地震を契機に、改めて最初から読み直してみた。

第一章の何が興味を引いたかというと、徳川家康が二度も地震に助けられていたという点だ。一度目は1586年1月18日に発生した天正地震。この前より、豊臣秀吉は徳川攻めのため大垣城に兵糧を集めて準備していた。秀吉は岡崎城に使者を送り、家康に上洛を促していたが、家康は上洛を拒んだ。天正地震が起きたのは、この翌日のことでる。震度六に見舞われた大垣城は大破、戦は回避された。

二度目の地震は1596年の伏見地震である。当時諸大名は朝鮮出兵で疲弊しいた。甥の関白秀次に政治の求心力が移ることを警戒した秀吉と三成は、秀次と妻子・側近を処刑した。それにより、家族を殺された大名が続出し、更に秀吉の不人気につながる。秀吉は、伏見地震で倒壊した伏見城を更に豪華に再建せよと命じるし、朝鮮には再度出兵することになる。こうして、秀吉と三成の不人気が決定的になり、人の心が家康へと動いて行ったというのだ。