隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

退出ゲーム

初野晴氏の吹奏楽部+日常の謎のミステリー。2016年の1-3月期にアニメ化されて、アニメの方を先に見て、興味を持って読んでみた。このブログを書いている時点で、3作目まで読んだが、アニメ化するに当たり、原作から「吹奏楽部」成分と「高校生」成分を若干抜いた印象を受ける。ストリー上、部活の吹奏楽は省く事はできないけれど、小説の記述ほど、アニメでは描かれていないと思った。これは多分正味20分ぐらいの尺にストーリーを押し込まなければならないので、削ったのだと思う。

本作には「結晶泥棒」(アニメ化されていない)、「クロスキューブ」(アニメ第2話)、「退出ゲーム」(アニメ第3話)、「エレファントブレス」(アニメ第5話)が収められているが、今一度、アニメの第一話を見直したら、最後の所で、ハルタとチカが草壁先生を好きなことが明かされており、「男だからって、負けないよ」というように発言していたが(初回時の記憶がすっかり抜け落ちていた)、「結晶泥棒」ではもっとはっきり描かれており、そのことが原因でハルタが登校拒否になったところから、ストーリーが始まっている。このところは、小説でも、たびたび言及されているし、アニメでも描かれていたのだが、初回に見落としていたので、アニメを見たときに、意味がわからず、記憶に残っていなかった。

今回改めて気づいたのは、受動的に見ているアニメと能動的に読んでいる小説では記憶に残り方が違い、小説の方が細かく記述しているということを差っ引いても、受動的に見ているアニメからは記憶への定着が悪いということが、よく判った。

それと、繰り返しになるが、アニメは正味20分ぐらいに収めなけばならないので、かなりの部分を省いていたり、コンパクトにまとめていると改めて感じた。たまに、画面に出ていた文字も、そのための手法だということがよく判った。特に、最後の「エレファントブレイス」では前半の発明部の所の記述がバッサリと削除されているので、なぜ後藤朱里がなぜハルタを知っていたのかが、アニメではちょっと弱かったと思っていたのだが、小説ではそこは違う展開になっているので、無理はないと思えた。しかし、発明部の「オモイデマクラ」が高校生が作ったという設定であっても、どうかなと疑問符が付いた。そういう意味では、前半部分はいらないとは思えた。