隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

千年ジュリエット

初野晴氏のハルチカシリーズ4冊目を読んだ。本作では普門館を目指す吹奏楽部の活動はちょっと小休止で、高校二年の秋の文化祭にまつわるストーリ4作が収録されている。

 

「エデンの谷」(アニメ11話)は草壁信二郎の恩師である山辺富士彦が残したピアノ、ベーゼンドルファーの鍵がどこにある科の謎を解くストリー。アニメでは、11話に置かれていて、県大会と東海地区大会の間のストーリーになっているが、小説ではそれ以降の話になっていて、芹沢直子は吹奏楽部の一員となっている。

 「失踪ヘビーロッカー」では蛇とヘビーをかけたのか?ちょっと毒蛇という設定に無理があり、特に逃げ出した蛇がタクシーの室内の温度を下げたとはいえ、活動が鈍り、おとなしくしてるものなのかという疑問が湧いた。

 「決闘戯曲」は決定的に不利な状況で行われた決闘にいかに勝利をしたかをとくすとーり。そのような決闘は大塚一族において過去2度行われてるが、どのように勝利したかの詳細は残っていない。それを大塚一族の末裔であり、演劇部に属する大塚修司が脚本を作り、演劇部が文化祭で演じることになっていたのだが、脚本が完成する前に大塚修司が行方不明なった。ハルチカは演劇部とリハーサルしながら、どのように勝利したのかの謎を解くストーリーになっている。

 「千年ジュリエット」はジュリエット達のストーリーと文化祭のストーリーが交互につづられていて、倒叙ストーリーになっている。「ジュリエット達」のジュリエットは「ロミオとジュリエット」のジュリエットで、イタリア北部のベローナにあるジュリエットのモデルになった女性の生家に送られてくる恋愛相談の回答をしている「ジュリエットの秘書」がもとになっている。このジュリエット達は年齢もまちまちな5人の女性であるが、不治の病に侵されていることが徐々に明らかになる。文化祭にはこのジュリエット達の中の誰かが訪れているようなのだが...。これはうまいこと騙されました。