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隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

美女二万両強奪のからくり (縮尻鏡三郎)

 佐藤雅美氏の 美女二万両強奪のからくりを読んだ。本書は縮尻鏡三郎シリーズの一編だが、今回の物語は梶川三郎兵衛が物語を動かしている。

江戸幕府は寛政四(千七百九二)年二月に柳原に町会所・籾蔵を設置させた。これは民営の窮民救済、備荒貯蓄、兼金融機関であり、寛政の改革の一環として設けられた。原資は町人(地主)が節減する町入用の七割。幕府も一万両を二度差し加えている。この原資をもとに、囲籾(かこいもみ)買入、米倉の修理、家賃貸付などを行った。

この町会所に夜遅くに、トントンと戸をたたく者がいる。女が妖艶な声で「最近近くに越してきたものです。道に迷ったうえ、提灯の火も消えてしまいました。火をお借りしたうえで、道を教えていただきたいのです」という。宿直の物は何のためらいもなく開けると、黒装束の男たちがどっと押し込み、千両箱が二十箱ほど盗まれたのだ。〆て、二万両が強奪された。賊は町会所の傍に立派な妾宅を立て、いかにもという美女が住んでいる態を装っていたのだ。

これは南北両奉行所の一大事と、梶川三郎兵衛も探査に乗り出すが、わずかな探査の糸口を捕まえたと思うと、それがプツリと切れて、要として犯人にたどり着けない。

 今回は鏡三郎はほとんどストーリにかかわってこなくて、梶川三郎兵衛の町会所二万両強奪事件の探査に費やされていて、主人公が動かないパターンだったが、これはこれで面白かった。梶川三郎兵衛はようやく首班にたどり着くが、残念ながら...。

 

 縮尻鏡三郎シリーズ

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