隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

リライト

法条遥氏のリライトを読んだ。例外小説 - 隠居日録で見つけたうちの一冊で、これはタイムトラベラー物のSF小説だ。

1992年の夏、中学2年生の美雪は、未来からやって来た保彦と出会う。旧校舎崩壊事故に巻き込まれた彼を救うため、10年後に跳んで携帯電話を持ち帰った。

だから、2002年で美雪は過去の自分に携帯電話を渡さなければならない。しかし、その日、過去の時間から自分はやってこなかった。未来が変わった?保彦は「過去は変わらない」といった。でも、この「過去」ってどの時点からの過去なのだろうか?少なくとも、2002年から見た「過去」は変わってしまった。何が起きたのか?

本作は2002年の美雪視点のパートと1992年の過去のストーリーが交互につづられるのだが、1992年に起きたこととしてつづられるパートのヒロインはパート毎に違う名前になっている。ここで、読者が混乱させられてしまう。いったい過去で起きていたのはなんなんだろうか?

また、2002年のパートでは美雪にストーカーの影が迫り、同級生の二人が何者かによって殺され、また一人も何者かによって襲われていることがわかってくる。2002年で起きていることは1992年で起きたことの結果なのか、それとも原因なのか?明らかにタイムパラドックスが発生しているのだが、本作ではそれをリライトすることで回避している。ここが新しいと思った。

ちょっと気になったのは携帯電話と旧校舎崩壊事故の所だ。旧校舎崩壊事故に関してはネタバレになるので触れないが、携帯電話に関しては、1992年には2GのPDCはまだサービスしていないので、アナログ方式のシステムしかない。しかし、その直後に2Gのディジタル方式がサービスを始めるので、2002年時点で存在している携帯電話は2Gモードのみか2G/3Gのデュアルモードの端末となる。その端末を1992年にもっていっても、電波は発信しない。それと、小説中充電している形跡も見当たらないのはどういうことなのだろうか。10年間充電せずに、放置していたのなら、電源すら入らないと思う。

 

法条遥作品

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