隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

情け深くあれ 戦国医生物語

岩井三四二氏の情け深くあれ 戦国医生物語を読んだ。本書は織田信長足利義明を奉じて京都に上洛した永禄11(1568)年から物語が始まる。京都の上京の内裏近くにある曲直瀬道三の啓迪院で修業中の英俊は国許の丹波で起きた事件のために、国を棄て、医生としてそこで学んでいた。事件とは英俊の酒井家と親しくしていた吉川家が刀で切りあうことが起き、吉川家の当主が死亡、酒井家の当主も死亡し、酒井家の長兄も打ち続き合戦で死亡、母もそれが心労で数年後に死亡した。次兄は先祖伝来の土地に戻り、帰農して生き残っている。英俊は出家した後に、医生となり、曲直瀬道三のもとで医術の修業をしている。

この英俊が次第に時代の波に飲み込まれるように、明智光秀と関わり合い、信長の京都焼き討ちの後、故郷の丹波に戻り、光秀の助力で医院を開業するも、やがて光秀と対立し、決別するさまが描かれる。医生物語というだけあって、戦国時代の医術の話が主となるが、英俊の武術の立ち回りシーンも交えつつ、英俊が国を捨てることとなった、酒井家と吉川家の対立の謎も解き明かされていく。