隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

砕け散るところを見せてあげる

竹宮ゆゆこ氏の砕け散るところを見せてあげる。本書の出だしは次の一文から始まる。

「つまりUFOが撃ち落されたせいで死んだのは二人」

竹宮ゆゆこ氏というととらドラ!のイメージが強かったのだが、これはSFなのかと誤解してしまった。本作は最初の方はラブコメ的な感じで進んでいく。ただし、物語の始まりは主人公の濱田清澄が高校の全校集会でたまたま見かけた一年生女子、蔵元玻璃へのいじめだった。ヒーローに憧れていた清澄だからなのか、大学受験を控えている12月という時期にもかかわらず、玻璃のいじめを見過ごすことができずに、どんどんかかわっていってしまう。いじめの件はひと波乱あり何とか収束の方向に向かうのだが、物語は当然そこでは終わらない。玻璃の体には無数の傷跡があるようなのだ。しかも、その傷はいじめが原因でついたのではないという。

で、最初に出てくるUFOというのは蔵元玻璃の父親が言った言葉らしい。自分の力ではどうすることができないものの存在を例えたのがUFOというわけだ。そして、そのUFOは時として攻撃を仕掛けてくる。濱田清澄と蔵元玻璃は最初はいじめというUFOと戦うことになるのだが、実際の本命のUFOはもっと恐ろしいものだった。

本書のほとんどが清澄の独白で進められているのだが、そうじゃないところがいくつかあって、その部分の所為で物語がループ構造をなす物語になっている。ストーリーの終盤にかけてはかなり救いのない話になっていくのだが、決定的に救いのない話として終わっていない。物語が最後の所でループすることにより救われているのだ。

このタイトルは比喩的に考えると「UFOを~」なんだけれども、そのUFOの実態を考えるとちょっと怖いものを感じる。