隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

光の帝国 常野物語

恩田陸氏の光の帝国 常野物語を読んだ。本書は不思議な力を持つ常野の一族の連作短編集だ。収録されているのは10編で、中には登場人物が重なり合って、関連性を持っているものもあるが、それ自体が独立している作品もある。

常野の一族は宮城県のどこかに住んでいたのだが、今は日本全国に散らばって住んでいる。彼らはみな何か特殊な力を持っている。たとえば、ありとあらゆることを記憶する(引き出しにしまう)家族、彼らはしまった記憶を再生することもできるようだ。裏返す力を持つ家族。遠目、遠耳、つむじ足。なぜ彼らが存在し、何をしようとしているのかは、作品中ではほとんど語られないまま、本作品は終わってしまい、何とも不思議な雰囲気を持つ作品だ。「オセロ・ゲーム」と「草取り」が面白かった。

この常野物語に関連する本はあと2冊出版されているようで、蒲公英草紙とエンドゲームだ。蒲公英草紙は「大きな引き出し」の春田家と関係のある話のようだし、エンドゲームは「オセロ・ゲーム」の拝島母娘の話のようだ。こちらの作品も読んでみようと思う。

著者もあとがきでかいているように「拝島暎子が夫を取り戻す話は、また別の機会に書いてみたい」が、エンドゲームなのであろう。「達磨山への道」も「四人の少女の神隠しの話のプロローグとなる話と予定した」そうなので、もしかするとまた別な作品が執筆されるかもしれない。