東川篤哉氏の「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」を読んだ。本書は魔法使いと刑事が登場するミステリーだ。魔法使いが登場してミステリーが成立するのだろうかという危惧もあるが、本書は倒叙ミステリーになっていて、犯人自体は物語の最初で明らかになっている。それと、「魔法で明らかになったことは証拠として使えない」という風にまっとうな判断もなされているので、主人公の一人小山田聡介刑事がどのように犯人のウソを見破るのかというところが、話の肝になっている。
本書には4編収録されていて、魔法使いのマリィは最初お手伝いさんとして、犯罪にかかわる家で働いているのだが、最後には無駄に広い家に父親と二人で住んでいる小山田刑事の所に厄介になる所で終わっている。このシリーズは3作出版されているが、今後の展開は私にはまだよく判っていない。収録作品は以下の通り。
- 魔法使いとさかさまの部屋
- 映画監督の犯罪
- 魔法使いとなくしたボタン
- スポーツインストラクターの犯罪
- 魔法使いと二つの署名
- 物まね芸人の犯罪
- 魔法使いと代打男のアリバイ
- 野球選手の犯罪
そういえば、東川篤哉氏の作品にはちょくちょく野球が出てくるが、やはり本人は野球が好きなのだろうな。