隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

流水浮木 最後の太刀

青山文平氏の流水浮木 最後の太刀を読んだ。

江戸時代の武士は家計の助けのためにいろいろな内職をしていた。鉄砲百人組の内職はツツジの栽培が有名であるが、本書ではツツジではなくサツキと書かれている。サツキはツツジの一種であるし、苗木で売っていたとも思えないので、サツキという表現の方が適当かもしれない。

本書の主人公はその鉄砲百人組の伊賀組の山岡晋平。もう六十を超しているが、まだ隠居しておらず、役についている。と言っても、鉄砲百人組の仕事は月に四五日、江戸城の門に詰めて警護をする役目である。伊賀ものの末裔とはいっても、役目は門の警備なのだ。

その山岡晋平はひょんなことから、幼馴染の川井佐吉が刺殺さる所を目撃した。その下手人は晋平が顔に大きなほくろがあることを見ていたので、すぐに捕まったが、今度はその下手人が唐丸駕籠で伝馬町に送られているときに何者かによって、刺殺されてしまった。唐丸駕籠には蓆が掛けられていたにもかかわらず、心臓を一突きされていたのだ。その後、晋平は川井佐吉が同心の株を売って、百人町を去ることになっていたことを、別な幼馴染の小林勘兵衛と横尾太一から聞かされた。

山岡晋平は何かのはかりごとが周りで起つているような気がしてきた。そして今度は小林勘兵衛が殺されてしまった。しかも刀を抜く暇もなく切り殺されてしまったのだった。晋平は覚悟を決めて、陰謀に対峙するのだった。

タイトルになっている「流水浮木」は一刀流の技の名前でる。こちらの剣を抑え込もうとする相手の力を使って、向こうの上太刀をとる。そのような技だ。