隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらってもいいですか?(2)

枯野瑛氏の終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (2)を読んだ。

第二巻では、第六の獣との決戦に旅立っていたクトリたちが戻らず、戦況連絡は何もないまま半月が経過する。妖精兵見習いのチィアットの調整のために11番浮遊島に赴くがヴィレムだが、そこで、帰還してきたクトリたちと再会する。クトリたちは第六の獣を倒すことができず、浮遊島ごと獣を地上に落として脱出してきたのだった。

ヴィレムはかっての仲間スウォンと最後に死闘を繰り広げた地神の一柱黒燭公の再会することになる。今スウォンは大賢人となっている。スウォンから、十七種の獣の正体が真界再思聖歌隊が野に放った生物兵器であるということが明かされる。また、ヴィレムは彼らとの会話から、スウォンと黒燭公が黄金妖精(レプラカーン)を生み出している張本人だと看破する。スウォンから地上を取り戻すための戦いに参加してほしいと頼まれるが、肉体的にもう戦えないヴィレムは断るのだ。

この巻において、クトリの人格崩壊が始まるが、決定的な破滅まではいかず、踏みとどまり、戻ってくるところまでが描かれる。前巻では「妖精郷の門」を開くという破滅的な最期を回避したヒロインだが、本巻においては黄金妖精の存在の限界により、悲劇的な最期が待ち受けていることが示唆されている。また、えるくという名の緋色の髪の少女がクトリの深層意識に登場するが、この時点で詳しい説明はない。