隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

マツリカ・マジョルカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マジョルカを読んだ。日常の謎のミステリー。高校一年の柴山祐希はある日、高校の隣にある廃ビルの四階の窓から女子高生が身を乗り出しているのを発見する。自殺なのか?と訝しみながら、その部屋を訪れると、年上と思しき女子高生がい…

心を操る寄生生物 : 感情から文化・社会まで

キャスリン・マコーリフの心を操る寄生生物(原題 This Is Your Brain on Parasites)を読んだ。本書を一言でいうなら、我々の行動は寄生生物によってコントロールされているというのだ。本書は大きく2つに分かれる。 寄生生物が我々の生物の中で何をしている…

鬼はもとより

青山文平氏の鬼はもとよりを読んだ。主人公は浪人の奥脇抄一郎。表向きは万年青の商いをしているが、裏では諸藩に向けて藩札板行指南をしている。物語の前半は奥脇抄一郎が浪人する前のことが語られる。当時はある藩で馬廻り役をしており、剣に入れ込んでい…

かけおちる

青山文平氏のかけおちるを読んだ。本書は四つの駆け落ちの物語である。と言っても連作短編ではなく、長編小説だ。主人公は柳原藩執政阿部重秀だ。政阿部重秀は家業として鮭の種川に取り組んでおり、ようやくその結果が出たところであった。鮭の種川とは鮭が…

不道徳な見えざる手

ジョージ・A. アカロフ, ロバート・J. シラーの不道徳な見えざる手(原題 Phishing for phools)を読んだ。本書のまえがきの中に以下のようなことが書かれている。 でも競争力のせいで、ビジネスマンはどうしてもごまかしと詐欺をするようになり、おかげで私た…

約定

青山文平氏の約定を読んだ。本書は短編集で、「三筋界隈」、「半席」、「春山入り」、「乳房」、「約定」、「夏の日」の6編が収められている。本書の二編目に「半席」という作品が収められているが、寡聞にしてこの半席という言葉は知らなかった。 御家人か…

流水浮木 最後の太刀

青山文平氏の流水浮木 最後の太刀を読んだ。江戸時代の武士は家計の助けのためにいろいろな内職をしていた。鉄砲百人組の内職はツツジの栽培が有名であるが、本書ではツツジではなくサツキと書かれている。サツキはツツジの一種であるし、苗木で売っていたと…

敵討ちか主殺しか (物書き同心居眠り紋蔵)

佐藤雅美氏の物書き同心居眠り紋蔵シリーズ「敵討ちか主殺しか」を読んだ。このシリーズも非常に長く続いていて、本作で14作目だ。前作では驚いたことに別シリーズの登場人物蟋蟀小三郎が登場していて、今後も登場するのかと思ったら、本作には登場しなかっ…

白樫の樹の下で

青山文平氏の白樫の樹の下でを読んだ。以前遠縁の女 - 隠居日録を読んで、面白かったので他の作品にも手を出してみた。読み終えて、改めて文章がうまいと思った。江戸の町名、橋、川が文章中にちりばめられており、そこを実際移動しているかのような印象を受…