隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

日本史のツボ

本郷和人先生の日本史のツボを読んだ。本書は7つの項目から日本史を俯瞰しようという試みで、7つの項目とは、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の項目だ。と言っても、これらの項目は互いに結びついているので、完全独立には論じることができないの…

キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけ…

マツリカ・マトリョシカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マトリョシカを読んだ。2017年8月にこのシリーズのマツリカ・マジョルカとマツリカ・マハリタ を読んだのだが、その時はもともとの単行本の出版から時間が空いているから、このシリーズはもう出ないのだろうなと思っていた。だが、そ…

合成生物学の衝撃

須田桃子氏の 合成生物学の衝撃を読んだ。本書は毎日新聞社の記者である須田氏が米国留学中に研究・取材した「合成生物学」に関する内容を一冊にまとめたものである。合成生物学とは、人為的に遺伝子のセットを作り人工的な生命を作ったり、あるいは遺伝子を…

虚談

京極夏彦氏の虚談を読んだ。京極氏の作品を読むのは本当に久しぶりだ。最後に読んだのがいつだったか思い出せないぐらいだ。この作品は怪談ならぬ虚談だ。物語は怪談のように話として語られていくのだが、ストーリーの中で突然嘘が出てくる。そうすることで…

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた

井上真偽氏の 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えたを読んだ。本書は奇跡を探求する上笠シリーズの2作目。今回は前半部分の事件発生編の所には上笠は全然登場しない。前巻にも登場していた元中国マフィアの一員、現在金貸しのフーリンとフーリンにくっついて…

その可能性はすでに考えた

井上真偽市のその可能性はすでに考えたを読んだ。これは非常にユニークで面白い構成のミステリーだ。タイトルの「その可能性はすでに考えた」は探偵役のお決まりのセリフ。この小説の探偵役は上苙丞は外見は以下のように記述され、 見た目は碧眼白皙の美青年…

吉田松陰: 「日本」を発見した思想家

桐原健真氏の吉田松陰: 「日本」を発見した思想家を読んだ。本書は吉田松陰の思想がどのように変遷したかが主眼になっていて、吉田松陰自身の生涯にはあまり詳しくは触れていない。とはいっても、生い立ちなどはその人の人格を形成するうえでも重要であるの…

修道女フィデルマの洞察

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの洞察を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

B.C.1177 古代グローバル文明の崩壊

エリック・H. クラインのB.C.1177 古代グローバル文明の崩壊 (原題 1177 B.C. The Year Civilization Collapsed)を読んだ。この本は紀元前3000年頃から始まる青銅器時代にメソポタミアから地中海東岸にかけて栄えていた文明が、紀元前1200年ごろから突如消滅…