隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

私の家では何も起こらない

恩田陸氏の私の家では何も起こらないを読んだ。この小説は怪談の連作短編で、扱っているテーマは幽霊屋敷だ。その家は小さな丘の上に建っていて、周りには何もない。建物はかなり古いが手入れが行き届いている。修理をした大工の腕がよかったのだろう。家の…

踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》

松尾龍之介氏の踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》を読んだ。あのジョナサン・スイフトの書いたガリバー旅行記のガリバーと踏み絵が関係しているということが一つの本書のテーマになっていて、そこから戦国から江戸時代にかけての日本…

インソムニア

辻寛之氏のインソムニアを読んだ。物語は、2017年2月、アフリカ中央部に位置する南ナイルランドで平和維持活動に従事する自衛隊に、現地で活動する国際NGOから緊急要請が入ったところから始まる。ジュベルを拠点に医療分野で活動するNGOの移動診療車両が行方…

撰銭とビタ一文の戦国史 (中世から近世へ)

高木久史氏の撰銭とビタ一文の戦国史 (中世から近世へ)を読んだ。 貨幣・銭とは まず最初に本書では貨幣・銭に関して次のように定義している。 交換手段と価値尺度の機能を持つ媒体の中で汎用性が高いもの、またはその機能そのものを、私たちは貨幣と読んで…

ランドスケープと夏の定理

高島雄哉氏のランドスケープと夏の定理を読んだ。姉のテアは12歳で故郷のグリーンランドを離れ、日本の大学に進んだ。17歳で宇宙物理学の博士号を取得する前に助教になった。というのも極めて優秀で、様々な理論を発表し、そして、22歳で教授になった。だが…

FreeBSD 12.1をNaoPi NEO2上でセルフビルドするのは大変

FreeBSD 12.1がリリースされたので、早速ソースコードをsvn経由で取得して、ビルドしようとしたのだが、メモリー不足でビルドにてまどった。12.0の時は特に何も考えずに、 # make -j2 buildworld # make -j2 kernelでユーザーランドも、カーネルもビルドでき…

会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

田中靖浩氏の会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語を読んだ。私は歴史物の一冊として面白く読んだ。会計の歴史に関して書かれている本ではあるが、この本で実際の会計のことを学ぶのはジャンルが異なっていると思う。会計に関する歴史を…

川っぺりムコリッタ

荻上直子氏の川っぺりムコリッタを読んだ。本書は北上ラジオの第6回目で紹介されていた。ムコリッタとは牟呼栗多のことで、仏典に記載されている時の単位らしい。30分の1日が1ムコリッタ、なので1ムコリッタは2880秒だ。本の雑誌 Presents 北上ラジオ 第6回…

雪が白いとき、かつそのときに限り

陸秋槎氏の雪が白いとき、かつそのときに限り(原題 当且仅当雪是白的)を読んだ。このミステリーには2つの事件が描かれている。5年前の事件と、そして、今回の事件。これらの事件は中国南部のZ市の高校で、冬の雪の降った真夜中に起きた。事件発生時には雪は…