隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

忘却する戦後ヨーロッパ 内戦と独裁の過去を前に

飯田芳弘氏の忘却する戦後ヨーロッパを読んだ。イシグロ氏がノーベル文学賞を受賞したときにNHKで再放送された「カズオ・イシグロ 文学白熱教室」を見た。 この番組はイシグロ氏が学生たちに自身の創作について語り、学生と討論する番組だったのだが、その中…

天地に燦たり

川越宗一氏の天地に燦たりを読んだ。時代は秀吉政権が全国を統一する直前から始まり、島津の琉球入りまでを描いている。本小説は三人の視点で物語が語られていく。一人は島津の侍で、大野七郎(後の樺山久高)だけが史実の人物であろうと思われる。彼は戦を厭…

凍てつく太陽

葉真中顕氏の凍てつく太陽を読んだ。時代は昭和十九年の年末、北海道の室蘭を舞台に小説は始まる。日崎八尋は身分を隠して、室蘭の軍需工場に人を派遣している飯場に潜り込んでいた。その飯場には朝鮮半島出身の労働者が犇めいてた。八尋は実は特高刑事であ…

公家たちの幕末維新-ペリー来航から華族誕生へ

刑部芳則氏の公家たちの幕末維新を読んだ。幕末から明治維新、明治政府の成立過程を公家の視点から描写したのが本書である。 公家たちの秩序 序章として、公家たちの秩序、まず家格が説明されている。摂家とか清華家というのは色々なところで見聞きするが、…

ある男

平野啓一郎氏のある男を読んだ。本書は以前から読もうと思っていたのだが、北上ラジオの第2回目で取り上げられていた。本の雑誌presents 北上ラジオ 第2回 - YouTube 恭一は、眉間に皺を寄せて、「ハ?」という顔をした。そして、もう一度写真に目を遣っ…

いやでも物理が面白くなる〈新版〉

志村史夫氏のいやでも物理が面白くなる〈新版〉を読んだ。本書は身近に存在する物理のテーマを光、電気、力・エネルギー、原子、時間・空間(相対性理論)の各テーマに沿って分類し、なぜそうなっているのかを分かりやすく解説している入門書である。本書のサ…

上皇の日本史

本郷和人先生の上皇の日本史を読んだ。本書では時それぞれの上皇のありようを大和時代の大王の時代から明治維新までのタイムスケールで解説している。