隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

新蔵唐行き

志水辰夫氏の新蔵唐行きを読んだ。以前読んだ疾れ、新蔵と同じ主人公が登場する小説だったので、読んでみた。この小説の中で新蔵は三国屋を一時離れ、諸国を回って見聞を広める旅をしていた。実は新蔵には心に秘めたる旅の目的があり、それは三国屋の宰領で…

わけがわかる機械学習 ── 現実の問題を解くために、しくみを理解する

中谷秀洋氏のわけがわかる機械学習を読んだ。タイトルを見て、機械学習でなぜそのような結果が得られるのかに関して説明している本だと思って読んだのだが、そういう本ではなかった。しかも、私は別な勘違いもしていた。AIや人工知能という言葉が具体的に何…

熱源

川越宗一氏の 熱源を読んだ。この作品の主人公の一人は樺太出身のアイヌであるヤヨマネクフなのだが、この人物は実在の人物のようだ。そして、この小説にはマジックリアリズムの手法で書かれたのかと思わされるほど実在の人物が色々登場してくる。国語学者の…

サー・ガウェインと緑の騎士 トールキンのアーサー王物語

J・R・R・トールキンのサー・ガウェインと緑の騎士(原題 SIR GAWAIN AND THE GREEN KNIGHT)を読んだ。副題に「トールキンのアーサー王物語」とついているが、アーサー王物語なのは「サー・ガウェインと緑の騎士」だけで、その他の「真珠」、「サー・オルフェ…

ベーシックインカム

井上真偽氏のベーシックインカムを読んだ。テクノロジーを題材にした日常のミステリーの短編集。5編収録されており、それぞれのタイトルは「言の葉の子ら」、「存在しないゼロ」、「もう一度、君と」、「目に見えない愛情を」、「ベーシックインカム」となっ…

名もなき王国

倉数茂氏の名もなき王国を読んだ。この小説は私小説的な感じで、埋もれてしまっていた幻想文学作家である沢渡晃を掘り起こしたという体裁で物語は始まるのだが、何とも不思議な構成になっている。「序」を読むとそういう構成になっている。作者の私と、友人…

時間は存在しない

カルロ・ロヴェッリの時間は存在しない (原題 L'ordine del tempo)を読んだ。本書は難解だ。そのことをわきに置いておいても、日本語タイトルがミスリードだ。日本語のタイトルは「時間は存在しない」となっているが、まず筆者が言っているのは、我々がずー…