隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

朝と夕の犯罪

降田天氏の朝と夕の犯罪を読んだ。この本もどこかで紹介を読んで面白そうだったので、読んだのだが、例によって、読もうと思った時と実際に読み始めた時の間が空いているので、内容に関してはどのようなものだか全然わからない状態で読み始めた。作者の名前…

黒人と白人の世界史

オレリア・ミシェルの黒人と白人の世界史――「人種」はいかにつくられてきたか (原題 Un monde en nègre et blanc)を読んだ。原題の意味するところは「黒と白の世界」で、日本語に翻訳すると直接的過ぎるような表現になっている。それからすると日本語のタイ…

世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論

カルロ・ロヴェッリの世界は「関係」でできている 美しくも過激な量子論 (原題 Helgoland)を読んだ。原題のHelgolandとは何か?Helgolandとはドイツにある島の名前で、北海上に浮かび、ハンブルグとかブレーメンから割と近いところにある。なぜこの島の名前…

空のあらゆる鳥を

チャーリー・ジェーン・アンダーズの空のあらゆる鳥を (原題 All Birds in the Sky)を読んだ。本書は2016年に刊行され、翌年ネビュラ賞長編部門、ローカス賞ファンタジー部門、クロフォード賞を受賞している。これだけの賞を受賞しているのだから、それなり…

暗闇にレンズ

高山羽根子氏の暗闇にレンズを読んだ。本書は一言でいうなら加納照に繋がる一族の物語だ。物語はSide Aで語られる現在とさほど遠くない時代の物語とSide Bで語られる加納照に繋がる一族の映像にかかわる物語が交互に現れる。ただし、Side Bには明治の頃から…

読書嫌いのための図書室案内

青谷真未氏の読書嫌いのための図書室案内を読んだ。表紙の裏のあらすじに「……その理由を探る浩二と蛍はやがて、三人の秘めた想いや昔学校で起きた自殺事件に直面し……」と書かれているので、ミステリーなのだろうかと思い読み始めたのだが、ミステリーという…

刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機

関幸彦氏の刀伊の入寇-平安時代、最大の対外危機を読んだ。平安時代に対外勢力からの侵略があったという事、そしてそれが「刀伊の入寇」と呼ばれていたという事は知っていたのだが、具体的な内容はよく知らなかった。更に、何かの小説で、事件があったのは時…

賭博常習者

園部晃三氏の賭博常習者を読んだ。この小説は北上ラジオの第39回で紹介されていた。ギャンブルに取りつかれた人間たちを描く自伝的長編小説『賭博常習者』園部晃三(講談社)を読むべし!【北上ラジオ#39】 - YouTubeタイトルがそのものずばりなのだが、この…

7.5グラムの奇跡

砥上裕將氏の7.5グラムの奇跡を読んだ。タイトルの7.5グラムとは何のことかというと、眼球の重さのことだ。この小説は目の検査に携わる視能訓練士の物語で、大学を卒業したての野宮恭一の成長物語でもある。私も定期的に眼科に通院していて、眼科で目の検査…