隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

三月は深き紅の淵を

恩田陸氏の「三月は深き紅の淵を」を読んだ。このタイトルからはどのような内容なのか全くわからない。読んだ後でも、このタイトルは何を意味しているのかよくわからない。この小説は4つの短編から成り立っている。が、その前にロワルド・ダールのチャーリー…

アクティベイター

冲方丁氏のアクティベイターを読んだ。この小説のジャンルとしてはスパイ小説に属するだろう。物語は中国のステルス爆撃機が領空侵犯し、スクランブル発進した空自の戦闘機が相手側から亡命を求める通信を受けるところから始まる。ステルス爆撃機は羽田空港…

第八の探偵

アレックス・パヴェージの第八の探偵(原題 Eight Detectives)を読んだ。原題の意味するところは八人の探偵なのに日本語のタイトルが第八の探偵になっているのは、アメリカ版のタイトルが"The Eighth Detective"になっているのに倣っためなのだろうか。この小…

黒牢城

米澤穂信氏の黒牢城を読んだ。天正6(1578)年10月、荒木村重は有岡城に籠城し、突如、信長に対して反旗を翻した。黒田孝高(官兵衛)は村重を翻意させるために有岡城に乗り込んだが、成功せず、城から追い払われることもなく、あるいは殺されることもなく、土牢…

薔薇のなかの蛇

恩田陸氏の薔薇のなかの蛇を読んだ。舞台はイギリスで、ケルトの遺跡のある地方での出来事が最初の「序章」で語られる。その遺跡の祭壇に切断された人体が置かれていたのだ。どう考えてもこれは殺人事件だろう。第一章では場所が変わって、納屋を改造した音…

古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々

虎尾達哉氏の古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々を読んだ。タイトルの通り、古代から中世の日本の朝廷には実は怠惰な官人が多くいたという内容なのだが、それにもまして、実は第一章の「律令官人とは何か」が面白かった。 陰位 まず第一に、今まで、朝廷…