隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アウシュビッツ潜入記

ヴィトルト・ピレツキのアウシュビッツ潜入記を読んだ。昨年の8月11日にNHK BS1でBS世界のドキュメンタリー「アウシュビッツに潜入した男」というのを放送していた。www.nhk.or.jpこの番組を見るまで、ヴィトルト・ピレツキのことは全く知らなかった。それに…

AI法廷のハッカー弁護士

竹田人造 氏のAI法廷のハッカー弁護士を読んだ。読む前はミステリー寄りの作品かと思っていたのだが、実際にはSF寄りの小説だった。「あかさたな」とは何なのかという大きな謎が4つの短編にわたって存在しているが、理詰めで解けるようなものではなし、ミス…

栞と噓の季節

米澤穂信氏の栞と噓の季節を読んだ。これは本と鍵の季節の2作目なのだが、私は前巻の終わりで堀川と松倉の関係が微妙になってしまったので、この物語はシリーズにはならないだろうと思っていた。だが、2作目が出版された。そして今度は長編小説だ。松倉は暫…

名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件

白井智之氏の名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件を読んだ。本書と直接関係のないことから書き始めるが、先日「ペトラは静かに対峙する (原題 Petra)」という映画を見た。その後、filmarks.comのレヴューを見て、 cache.yahoofs.jp*1 「チェーホフの銃」とい…

サード・キッチン

白尾悠氏のサード・キッチンを読んだ。東京の都立高校に通う普通の高校生だった加藤尚実は留学して、憧れのアメリカの大学に入学したものの、やはり言葉の問題でなかなか周りの人たちと関係が築けずに悶々としていた。寮の同室のクレアは当然のことながらア…

不確実性を飼いならす——予測不能な世界を読み解く科学

イアン・スチュアートの不確実性を飼いならす——予測不能な世界を読み解く科学 (原題 DO DICE PLAY GOD? THE MATHEMATICS OF UNCERTAINTY) を読んだ。読む前は、実際にどのようにデータを処理するかというようなことが書かれているのかと思っていたのだが、こ…

11文字の檻

青崎有吾氏の11文字の檻を読んだ。この本は色々なところで発表された短編やショート・ショートを収録した短編集で、「加速していく」、「噤ヶ森の硝子屋敷」、「前髪は空を向いている」、「your name」、「飽くまで」、「クレープまでは終わらせない」、「恋…

惑う星

リチャード・パワーズの惑う星(原題 BEWILDERMENT)を読んだ。あらすじの紹介に「母親の脳スキャンデータを息子に追体験させ」というようなことが書かれていて、SF的な展開のある小説なのか?と思いつつ、読んでみたのだが、SF的なところはこの部分だけだった…

遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎

中屋敷均氏の遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎を読んだ。黄金虫変奏曲を読んでから、DNAの4つの塩基の暗号がどのように解読されたのかが気になっていたので、本書を手に取ってみた。本書では遺伝子という切り口で生命科学の歴史を振り返っている。DNA…

骨灰

冲方丁氏の骨灰を読んだ。この小説のジャンルはホラーになるのだと思うが、呪とか祟りの物語。2015年の東京の渋谷の再開発エリアに県瀬中の高層ビルの地下の工事現場の写真を撮って、いかにも何かの工事の不備があるというようなツイートをしている者がいて…