隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

老虎残夢

桃野雑派氏の老虎残夢を読んだ。本作は第67回江戸川乱歩賞受賞作で、読もうと思っていたのだが、何となく後回しになっていた。この小説は12世紀ごろの中国が舞台になっている。武侠小説 x 百合 x 特殊設定ミステリーという組み合わせの小説で、この作品を読…

僕が死んだあの森

ピエール・ルメートルの僕が死んだあの森 (原題 TROIS JOURS ET UNE VIE)を読んだ。あらすじを読むと「12歳の少年が隣家の6歳の少年を殺した」という心理サスペンスの様だ。そして、この「僕が死んだあの森」というタイトルだと、「僕」は殺された6歳の少年…

一冊でわかるドイツ史

関眞興氏の一冊でわかるドイツ史を読んだ。文明交錯 - 隠居日録に神聖ローマ帝国の皇帝が出ていて、そういえば神聖ローマ帝国とはどいういきさつでできたのかもうすっかり忘れていることに気付いた。神聖ローマ帝国といえばハプスブルク家で、文明交錯でも登…

江戸の女子旅―旅はみじかし歩けよ乙女―

谷釜尋徳氏の江戸の女子旅―旅はみじかし歩けよ乙女―を読んだ。この現代的なタイトルを見て、「江戸時代に若い女性だけの旅はないだろう。どんなことが書かれているのだろう?」と思って、読んで見た。このタイトルはミスリードだ。著者にはそのような意図が…

人間性の進化的起源: なぜヒトだけが複雑な文化を創造できたのか

ケヴィン・レイランドの人間性の進化的起源: なぜヒトだけが複雑な文化を創造できたのか (原題 Darwin's Unfinished Symphony)を読んだ。ヒト(だけではなく他の霊長類や哺乳類)がどのように知的生物に進化したかという事を多数の研究事例を参照しながら解説…

鯉姫婚姻譚

藍銅ツバメ氏の鯉姫婚姻譚を読んだ。タイトルを見るとわかるが、手短に言うとこれは異類婚姻譚の形式の物語を包含した物語になっていて、構造はマトリョーシカのようになっている。ただ、物語の語りは外側からにはなっていない。物語の主人公は孫一郎という…

学校では教えてくれない! 英文法の新常識

鈴木希明氏の学校では教えてくれない! 英文法の新常識を読んだ。私が学校で英語を学んだのはもう40年以上前なので、教えられたこと・覚えていることは今とはもうずいぶん違っているとは思う。 whomは使わない これは何となく気が付いていた。"Whom did you i…

回樹

斜線堂有紀氏の回樹を読んだ。巻末の初出一覧によると2021年から2022年にかけてSFマガジンに掲載されたものと書下ろし1編が本書には収録されている。全部で6編からからなる短編集である。収録作品は「回樹」、「骨刻」、「BTTF葬送」、「不滅」、「奈辺」、…

文明交錯

ローラン・ビネの文明交錯 (原題 CLVILIZATIONS)を読んだ。実は最初にこの本の紹介を見て面白そうだと思い、過去の作品を見た。そうしたら、過去の作品も面白そうだったので、順番に読み進めてた。そして、ようやく本作に辿り着いた。もちろんそれぞれの作品…