隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争とオカルティズム 現人神天皇と神憑り軍人

藤巻一保氏の戦争とオカルティズム 現人神天皇と神憑り軍人を読んだ。以前読んだ建国神話の社会史-虚偽と史実の境界 - 隠居日録と対になる内容で、こちらの本は建国神話を国に蔓延させ、押し付けた軍人に関して書かれている。建国神話などは普通の感覚ではあ…

キツネ狩り

寺嶌曜氏のキツネ狩りを読んだ。この作品は特殊設定ミステリーというか、サイコサスペンスというか、あまり分類する必要はないとは思うが、純粋な謎解きのミステリーではない。主人公は尾崎冴子という警察官で、3年前に婚約者とタンデムツーリングをしていた…

法治の獣

春暮康一氏の法治の獣を読んだ。本書は短編集で、「主観者」、「法治の獣」、「方舟は荒野をわたる」の3編が収録されている。どの作品も人類と異星に生息する生命体との接触(異星生命体にとっては多分ファーストコンタクトであろうが、人類から見た場合それ…

友が消えた夏 終わらない探偵物語

門前典之氏の友が消えた夏 終わらない探偵物語を読んだ。これはよくできた構成のミステリーだ。現在と過去が目まぐるしく交錯して、作者の目晦ましに見事はまってしまった。現在(2007年の夏)の時点では、ある手記をもとに探偵の蜘蛛手が過去に起きた演劇部部…

「木」から辿る人類史: ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る

ローランド・エノスの「木」から辿る人類史: ヒトの進化と繁栄の秘密に迫る (原題 The Age of Wood: Our Most Useful Material and the construction of Civilization)を読んだ。本書はわれわれヒトと木がどれほど密接に関係しいるかという事を解説している…

バールの正しい使い方

青本雪平氏のバールの正しい使い方を読んだ。小学生の要目礼恩は父親の都合で転校を繰り返していた。この物語は彼が転校先の学校で遭遇した事件に関するミステリーの連作小説になっている。収録されているのは「狼とカメレオン」、「タイムマシンとカメレオ…

藩邸差配役日日控

砂原浩太朗氏の藩邸差配役日日控を読んだ。本書は神宮司藩の江戸屋敷で差配役の頭を勤める里村五郎兵衛が主人公の時代小説だ。神宮司藩も差配役も作者が考え出した架空の設定だ。差配役とはいわば江戸屋敷の何でも屋のような役回りで、それぞれの役割の専従…

残された人が編む物語

桂望実氏の残された人が編む物語を読んだ。行方不明者捜索協会という民間の会社に勤める西山静香が出会った様々な理由で行方知れずになった人を探す人の物語が本書で、連作短編集になっている。収録作品は「弟と詩集」、「ヘビメタバンド」、「最高のデート…