隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ミステリー

老虎残夢

桃野雑派氏の老虎残夢を読んだ。本作は第67回江戸川乱歩賞受賞作で、読もうと思っていたのだが、何となく後回しになっていた。この小説は12世紀ごろの中国が舞台になっている。武侠小説 x 百合 x 特殊設定ミステリーという組み合わせの小説で、この作品を読…

言語の七番目の機能

ローラン・ビネの言語の七番目の機能(原題 La septième fonction du langage)を読んだ。ビネの第2作目の作品で、本書には実在の人物が多数登場する架空の物語だ。1980年、フランスの哲学者、記号学者、作家であるロラン・バルトが交通事故に遇い、病院に担ぎ…

数学の女王

伏尾美紀氏の数学の女王を読んだ。本作は北緯43度のコールドケース - 隠居日録の続編ではあるが、前作を読んでいなくても問題なく、この小説を読めるようになっている。今回では新札幌に新設された北日本科学大学大学院で発生した爆弾事件の謎を追うことにな…

七つの裏切り

ポール・ケインの七つの裏切り (原題 SEVEN SLAYERS)を読んだ。確か朝日新聞の書評で紹介されていて興味を持ったのが読もうと思ったきっかけだったと思う。驚かされる知略に満ちた「11文字の檻 青崎有吾短編集成」など村上貴史が薦める新刊文庫3点|好書…

栞と噓の季節

米澤穂信氏の栞と噓の季節を読んだ。これは本と鍵の季節の2作目なのだが、私は前巻の終わりで堀川と松倉の関係が微妙になってしまったので、この物語はシリーズにはならないだろうと思っていた。だが、2作目が出版された。そして今度は長編小説だ。松倉は暫…

名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件

白井智之氏の名探偵のいけにえ: 人民教会殺人事件を読んだ。本書と直接関係のないことから書き始めるが、先日「ペトラは静かに対峙する (原題 Petra)」という映画を見た。その後、filmarks.comのレヴューを見て、 cache.yahoofs.jp*1 「チェーホフの銃」とい…

11文字の檻

青崎有吾氏の11文字の檻を読んだ。この本は色々なところで発表された短編やショート・ショートを収録した短編集で、「加速していく」、「噤ヶ森の硝子屋敷」、「前髪は空を向いている」、「your name」、「飽くまで」、「クレープまでは終わらせない」、「恋…

君のクイズ

小川哲氏の君のクイズを読んだ。クイズ選手権の第一回Q-1グランプリの決勝戦での出来事。最終決戦に残ったのは本庄絆と三島玲央。7問選手の早押しクイズで、両者とも6問正解になった。但し、本庄は誤答が2問、三島は誤答が1問で、誤答が3問になると失格とな…

時空犯

潮谷験氏の時空犯を読んだ。この作品も特殊設定ミステリーで、2018年6月1日が980回以上繰り返し怒っている世界での物語だ。物語は探偵の姫崎智弘の元に、、情報工学の権威である北神伊織博士から、破格の報酬である1千万円の依頼が来たところから始まる。博…

方舟

夕木春央氏の方舟を読んだ。大学時代の友人の裕哉の誘いに応じて彼のおじさんの所有する長野県の別荘に集まった友人たち。彼らは裕哉が発見した山奥にあるという地下建築物を見に出かけたのだが、途中道に迷ってしまって、その場所についた時にはもう夕方に…

此の世の果ての殺人

荒木あかね氏の此の世の果ての殺人を読んだ。本書は第68回江戸川乱歩賞受賞作品だ。物語はハルちゃんとイサガワ先生が自動車の路上教習に出かけるところから始まるのだが、読んでいて何となく様子が変に感じた。何か違和感を覚えるのだ。それもそのはずで、…

#真相をお話しします

結城真一郎氏の #真相をお話ししますを読んだ。本書はジャンルとしてはミステリーで、「惨者面談」、「ヤリモク」、「パンドラ」、「三角奸計」、「#拡散希望」の5編が収められた短編集だ。本書をネタバレせずに説明するのは非常に難しい。それぞれのストー…

修道女フィデルマの采配

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの采配を読んだ。本書には「みずからの殺害を予告した占星術師」、「魚泥棒は誰か」、「養い親」、「「狼だ!」」、「法定相続人」の5編が収められている。この中の「養い親」は珍しい「養育制度」というアイルランド…

修道女フィデルマの挑戦

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの挑戦を読んだ。本書は短編集で、「化粧ポウチ」、「痣」、「死者の囁き」、「バンシー」、「消えた鷲」、「昏い月 昇る夜」の6編が収められている。最初の「化粧ポウチ」ではフィデルマはまだ16歳ぐらいで、ちょう…

仕掛島

東川篤哉氏の 仕掛島を読んだ。孤島、遺産相続、悪天候による外界との隔絶、そして殺人事件といかにもの設定のミステリーで、これで連続殺人事件なら完璧だったのにと思ってしまった。東川氏の作品をすべて読んでいるわけではないが、このような設定のミステ…

金環日蝕

阿部暁子氏の金環日蝕を読んだ。森川春風は帰宅しようとしていた時に、近所に住んでいる小佐田サヨ子がひったくりに会っていたところに出くわし、とっさにその犯人を追いかけた。たまたまその場に居合わせた男子高校生と犯人を挟み撃ちにしたのだが、運悪く…

invert II 覗き窓の死角

相沢沙呼氏のinvert II 覗き窓の死角を読んだ。城塚翡翠シリーズの3作目。本作も倒叙ミステリーになっていて、中編2作が収録されており、タイトルはそれぞれ、「生者の言伝」、「覗き窓ファインダーの死角」。「生者の言伝」は翡翠と真が山道を走っている時…

あなたへの挑戦状

阿津川辰海氏、斜線堂有紀氏のあなたへの挑戦状を読んだ。二人の作家の競作という事なのだが、どのような競作かというと、ある謎を相手に出題し、その謎を受け取った側はその謎を解明するための推理小説を書くというような競作だ。なので、本書には2編収めら…

録音された誘拐

阿津川辰海氏の録音された誘拐を読んだ。これはよくできたミステリーだ。タイトルにある通り、このミステリーで扱っているのは誘拐事件だ。本書の中でも散々指摘されているが、今時営利誘拐ほどリスキーな犯罪はないだろう。決定的な問題は身代金回収のため…

指差す標識の事例

イーアン・ペアーズの指差す標識の事例 (原題 An Instance of the Fingerpost)を読んだ。この小説は上下巻合わせて1100ページを超える大作のミステリーだ。しかも構成が変わっている。4人の手になる手記が収められていて、ある殺人事件にまつわる出来事をそ…

二重らせんのスイッチ

辻堂ゆめ氏の二重らせんのスイッチを読んだ。これはミステリーに属する小説だが、主人公の桐谷雅樹は犯人で、被害者でもあり、探偵役を担っている。実際には犯人に間違われて、その後に巻き込まれた事件では被害者になり、そしていったい何が起きていたのか…

われら闇より天を見る

クリス・ウィタカーのわれら闇より天を見る (原題 We Begin at the End)を読んだ。本書は北上ラジオの第49回で紹介されていた。 クリス・ウィタカー『われら闇より天を見る』の“無法者”と自ら名乗る13歳の少女・ダッチェスに注目だ!【北上ラジオ#49】 - You…

爆弾

呉勝浩氏の爆弾を読んだ。物語は冴えない中年の男が警察で取り調べを受けている所から始まる。名前はスズキタゴサク、年齢49歳。酒屋の自動販売機をけっているのを止めに入った店員を殴り捕まった。本人曰く、家で缶チューハイを飲みながらジャイアンツ―ドラ…

捜索者

タナ・フレンチの捜索者 (原題 The Searcher)を読んだ。本作品は北上ラジオの第46回で紹介されていた。出たぞ!この本が2022年のベスト1だ! 『捜索者』タナ・フレンチ(ハヤカワ文庫)を信じて読んでくれ!【北上ラジオ#46】 - YouTubeシカゴ警察を辞…

匿名作家は二人もいらない

アレキサンドラ・アンドリューズの匿名作家は二人もいらない(原題 Who is Maud Dixon?)を読んだ。英語の原題にあるモード・ディクソンは処女作がベストセラーになった匿名作家のことで、本名はヘレン・ウィルコックスだ。プロローグではそのヘレンがモロッコ…

かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

宮内悠介氏のかくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖を読んだ。この作品は連作短編ミステリーで、著者自身が第一話の覚書で明かしているように、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」の形式を明治時代の実在の芸術家のパンの会に当てはめている。メイ…

密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック

鴨崎暖炉氏の密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリックを読んだ。本書は、 「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」 という事が裁判所により認定された世界での密室を扱ったミステリーだ。そういう意味ではある種の特殊な世界でのミステリ…

名探偵と海の悪魔

スチュアート・タートンの名探偵と海の悪魔を読んだ。タートンは非常にトリッキーな「イブリン嬢は7回殺される」でデビューした作家で、本作は第2作目だ。「イブリン嬢は7回殺される」と比べると「名探偵と海の悪魔」はオーソドックスなつくりになっていて、…

蝶として死す

羽生飛鳥氏の蝶として死す 平家物語推理抄を読んだ。時代は平安末期の頃で、いわゆる平家が台頭し滅んでいく頃である。池殿流平家の頼盛を主人公にして、頼盛に降りかかってくる難題を何とか知恵でかわしていくというミステリーが本書の概略だ。頼盛は清盛の…

北緯43度のコールドケース

伏尾美紀氏の北緯43度のコールドケースを読んだ。本作は第67回江戸川乱歩賞受賞作である。物語の舞台は札幌の警察であり、タイトルに「コールドケース」とついているように未解決事件を扱ったミステリーだ。物語は取り壊されることになっていた倉庫で少女の…