隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

学校では教えてくれない! 英文法の新常識

鈴木希明氏の学校では教えてくれない! 英文法の新常識を読んだ。私が学校で英語を学んだのはもう40年以上前なので、教えられたこと・覚えていることは今とはもうずいぶん違っているとは思う。

whomは使わない

これは何となく気が付いていた。"Whom did you invite?"より"Who did you invite?"の方が圧倒的に目にしたり、聞いたりする。それと関係代名詞のwhomももうほとんど使われていないようだ。

mustかhave toか

会話では圧倒的に"have to"が使われると本書には書かれている。この違いを学校で習った記憶はあまりないのだが、"have to"客観的にしなければならない、一方"must"は主観的な強い思いがあり、強制や命令のニュアンスが出てしまうと書かれている。

関係代名詞のwhich

これも現在はほとんど使われないという事だ。確かにあまり目にしなような気がする。whichの代わりにthatを使うか、省略するのが最近の傾向のようだ。

否定 + because

becauseの説明のところで、否定 + becauseの例文が2つ出ている。

I didn't cry because I had my heart broken.

この場合否定の範囲は"I cried because I had my heart broken"と全体を否定して、「失恋をしたから泣いたわけではない」という意味になり、

I didn't cry because you were with me.

は単純に"I cried"だけを否定して、「あなたが私といてくれたので、泣かなかった」たという意味だと書かれている。つまり単純にどこが否定されるかは文脈によるというのだ。DeepLではこの2つの文章を正しく訳していくれるようだ。文脈というよりは、このような文章だとそういう風に解釈するのが多数派になるという事か。

タバコを吸っている人

タバコを吸っている人という英語は"a man smoking"であって、"a smoking man"ではないと書かれていて、これに関してはちょっと本当なのだろうかと疑問に思っている。"a man smoking"の意味合いは一時的にタバコを吸っている人で、"a smoking man"ならばいつもタバコを吸っている人の意味になると説明しているのだ。googleで検索すると、"smoking man"も"man smoking"も同じぐらいヒットするページがあり、検索の多さから判断できなかった。"a smoking man"がいつもタバコを吸っている人という意味で、実際的には常時タバコを吸うことはできないのならば、検索数はもっと少なくなると予想したのだが、そうはならなかった。

英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?

新井潤美氏の英語の階級 執事は「上流の英語」を話すのか?を読んだ。イギリス英語は落とし穴だらけ - 隠居日録を読んだときにも感じたが、イギリス英語はややこしい、というかめんどくさいと改めて感じた。階級により、使う単語、言い回し、アクセントが違うのだから、ややっこしいのだが、それよりも何よりも、まず、それぞれのクラスについて、明確に定義してもらいたかった。アッパークラス、ミドルクラス、ローワークラス、ワーキングクラスと言っても、なんとなくイメージはあるが、明確にどのような人がどこに属するのか正確には分からない。アッパークラスに関しては「土地を持ち、その収益によって暮らすことができる人々」と書かれていた。要するに昔の貴族階級の人たちだろうが、今時土地からの収益だけでは生活は成り立たないと思う。ローワークラスとワーキングクラスはほぼ同じ意味だろうが、これは端的に肉体労働に従事する労働者ととらえていいのだろうか。ミドルクラスはその間に属するとするとかなりの人たちがここに属すると思われるのだが、そういう理解であったいるのかちょっとよくわからない。

初対面の挨拶で、"How do you do?"を言う・言わないという議論をよく目にするが、本書によると、この表現はアッパークラスの表現で、そうだとすると使う人がそもそも限られているという事だろ。だが、ミドルクラス、ローワークラスがどのように言っているのかが本書には書かれていないので、その点は気になるところだ。

本書にアッパークラスと非アッパークラスの使う単語の例が載っているのだが、

UpperNon Upper
false teethdentures入れ歯
table-napkinservietteナプキン
looking-glassmirror
writing-oaoernote-paper便箋
scentperfume香水
ここで不思議なのは非アッパーの使う表現にフランス語が語源のものが多いという点だ。元々イギリスの上流階級はフランスから来た人たちが多くいて、フランス語を話していたのは世界の英語ができるまで - 隠居日録に書かれていたが、いつの間にか上流階級の言葉は英語化し、むしろ下流の言葉にフランス語が多く取り入れられているというのは何とも不思議なことだ。