隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

リビジョン

法条遥氏のリビジョンを読んだ。この作品はリライトの数か月後(1992年の秋)の世界を舞台にしており、園田保彦の誕生を描く物語になっている。

千秋家の女性に代々受け継がれている不思議な手鏡がある。この手鏡を使うと未来を視ることができるのだ。この視ることを「ビジョン」と物語では呼んでいる。千秋霞はある日生まれたばかりの一人息子が発熱したため、病状が心配になってしまい、ビジョンを使って未来を視てしまった。たとえ未来を知ったとしても、未来は変えられないのに。霞が見た未来は一人息子のヤスヒコの死だった。霞はヤスヒコの死を回避するために、過去・現在と手鏡と通じて繋がった世界に浸食し・浸食され、起きたこと・起こることを改竄し始めるのだった。

千秋霞と千秋邦彦に関する記述がちょっと妙だと思いながら読んでいたのだが、そういうことだったのかと驚きが後半にあった。今回の物語で保彦の出生が明らかになったが、この保彦とリライトで未来からやって来たことになっている保彦とのつながりがまだ明らかになっていない。それはきっと、三作目のリアクトで明らかになるのだろうと想像している。