隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

図書館の殺人

青崎有吾氏の図書館の殺人を読んだ。体育館の殺人と水族館の殺人と並んでいたのだが、目当ての本が図書館の殺人だったので、こちらから読み始めてしまった。よく調べてから読めばよかったと、若干後悔した。これらは同一シリーズなので、順番に読んだ方がいいと思う。本書を単独で読んだとしても、問題はないが、登場人物が多く(本の最初に主な登場人物という項目はある)、今までのストーリーを知っていた方が、登場人物の関係性がわかって、より楽しめると思う。

夜間の閉館した図書館で殺された死体が発見された。凶器は山田風太郎の人間臨終図鑑だった。そして、死体の傍の床と死体の傍に置かれた本にダイイングメッセージがあった。

名探偵の主人公はいわゆるアニメ・漫画ヲタクの高校生なのだが、なぜか非常に論理的で、ホームズ張りに、証拠から論理を組み立てて、犯人に迫っていき、犯人を特定する。しかし、動機については詳しく触れていない(探偵の想像のみ)ので、その点では犯人は意外ではあるのだが、動機についてももう少し触れてほしかった。それと文体がちょっと妙で、地の文章の視点が誰なのかがちょっと判然としないというか、ころころ変わっているような感じだ。あと、ところどころ、アニメ風というか、ラノベ風の展開になっている。ダイイングメッセージを重視しないでストーリーが進んでいるのは、個人的には好ましかった。推理はロジカルに進められているが、図書館の床の素材に関して、ちょっとイメージがつかめなかった。

体育館の殺人を次に読もうと思う。