隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~を読んだ。これはキネマ探偵カレイドミステリー - 隠居日録の続編で、探偵役は引きこもりの嗄井戸高久、語りで探偵助手役は奈緒崎と前作と同様。本書には3編収録されており、前作と同様に映画を題材としたミステリーになっている。タイトルと作品は以下の通り。

再演奇縁のオーバーラップ - スタンド・バイ・ミー

自縄自縛のパステルステップ - アーティスト

正誤判定のトレジャーハント - バクダット・カフェ

一話目の「再演奇縁のオーバーラップ 」では奈緒崎は大学で挙動不審な動きをしている同級生の能美と出会う。大きなリュックサックを担いでいて、話を聞くと、風呂が壊れて修理に一週間ほどかかるので、泊まれるところを探しているという。それで、その間留めてほしいという。可哀想なので止めてやることにしたのだが、実は「風呂が壊れて」というのは嘘で、アパートの大屋からある疑いを掛けられていて、それでアパートにいられなくなり、逃げてきたというのだ。その疑いというのが、能美が大家さんの亡くなった奥さんとの大事な思い出なので大切にしているスタンド・バイ・ミーのソフトを盗んだというのだ。しかし、能美は盗んでいないという。なぜか、スタンド・バイ・ミーのDVDがアパートの部屋に置かれていたというのだ。当然ミステリーなので、この不思議な状況を生み出したトリックやロジックがあると思わせるのが作者のミスディレクションだ。今回は不可能な状況ではなので、ストーリーの核はトリックというよりはなぜこんなことが起こったか?何が真実なのかというロジックなのだが、探偵の嗄井戸は直感的に真相に迫るが、奈緒崎はそれを信じることができない。本作は探偵助手の奈緒崎が体を使いながら情報を集め、それをもとに嗄井戸が謎を解いていく。そして、色々映画に関する薀蓄がちりばめられていくというスタイルになっている。

3作目の最後で、嗄井戸が引きこもりになったと原因と関連しそうなことがちょこっと出てきているし、次作はすでに発売済みで、最終巻になるはずだから、なるべく早く読もうと思う。