隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

バビロン 1 ―女―

野崎まど氏の バビロン 1 ―女―を読んだ。現時点で、本シリーズは3冊目まで出ているが、一冊目を読んだ印象では、この物語は今後どこへ向かっていくのか全く先が読めない。

最初、この物語は東京地検特捜部の検事正崎善が製薬会社「日本スピリ」が大学を巻き込んで起こした臨床試験の不正事件を捜査するところから始まる。その証拠書類の中に不思議なメモを発見したころから、物語はその不思議なメモの方に向かって大きく動き出していく。その不思議なメモにはコピー用紙の裏側にびっしりと書き込まれたFの文字があった。更に、毛、爪、血痕までついている異様なメモだった。正崎は本線の事件とは関係ないとは思いつつ、念のためにメモの出どころである聖ラファエル大学の因幡医師を訪ねると、大学を休んでいるということだった。念のために因幡医師の自宅マンションを訪ねると、部屋からは大音量の音楽が漏れており、そして、部屋の中では因幡医師は既に死んでいるのだった。

正崎はこの後、この不思議な事件を調査し行くことになるのだが、そこに本書のもう一つのストーリーの核になるであろう「新域」という東京に隣接し、東京の八王子市、多摩市、町田市、神奈川の相模原市を統合した第二東京ともいうべき新たな行政区域であり特区でもある新しい地方自治体、およびその首長である域長選挙に絡む不正選挙疑惑が浮かび上がってくる。初代域長に選出された斎開化、更に、本書のサブタイトルになっている「女」が登場するのだが、この女が全くの謎の女で、今後この女がどのように物語にかかわってくるのかが興味深いところだろう。いずれにしても、一冊目では今後どんなストーリーに展開していくのか全く分からない状況だ。