隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

修道女フィデルマの洞察

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの洞察を読んだ。

本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すこともできる上位弁護士(アンルー)の資格もつというユニークな探偵役が主人公の短編ミステリーシリーズの一冊である。本書には五編おさめられており、それぞれのタイトルは、毒殺への誘い、まどろみの中の殺人、名馬の死、奇跡ゆえの死、晩禱の毒人参。

面白さは、後半に向かっていくほど上がっていく感じになっている。一編目の「毒殺への誘い」はストリーが平板で、なんとなく結末が見えてしまっていた。唯一最後の最後の所でもう一つ秘密が明らかにされているが、それをストーリーから読み解くのは困難だろう。

一番面白かったのは、最後の「晩禱の毒人参」だ。今まで、フェデルマはどこかに旅をしている、あるいは旅の途中という設定だったが、初めて自分が属する修道院が事件の舞台となっている。物語の最初では、ちょうど彼女は旅から帰ってきたところであったが、修道院の客人のシローンが夕食の前の晩禱の時に苦悶の叫びをあげ、死んだ。どうやら毒人参の毒で死んだようだ。なぜ、どのようにして死んだのだろうか?修道院長イータに依頼され、フィデルマは事件の捜査を開始して、シローンが国王に依頼されてこの辺りにあるという金鉱脈を探しに来ていたのだということを知り、しかも、翌日には出立する予定であったころを知る。犯人は一体誰で、どのようにしてシローンに毒を飲ませたのか?事件の説明が二転三転するところはこのシリーズのおなじみの展開になっていて、読んでいて面白いところだ。