マーク・ピーターセンの英語のこころを読んだ。相変わらずいろいろ知らないことを発見した。
英語のism
どうも私には英語の~ismという単語を見た時には、直観的に~主義に相当するものだと思い込んでしまうのだが、最近よく使われている英語ではこの対応が当てはまらないものが多い。例えば、本書でも挙げられているracismがそうだ。これを民族主義と日本語に訳すと、文脈には全く合致しないであろう。どうやら、~ismには多くの場合~に対する差別という場合の方が多いそうだ。
組み合わせたという英語の表現
よく「○と×を合わせたような~」というような表現があるが、これに使われるのがmeetだ。
It's Out of Africa meets Pretty Woman.
「愛と悲しみの果て」と「プリティ・ウーマン」を合わせたようなものだ。
というように使う。
heartとmind
heartとmindは何となく似た単語であるが、英語においては、heartは感情や気持ちを表していて、mindは論理的な思考をあらわしている。なので、a change of heartは心変わりをあらわし、a change of mindは考え方の変化をあらわす。
夏目漱石こころの文体と英語の言い回し
夏目漱石のこころの中には以下のような表現があるという。
それでこの物足りない返事が少し私の自信を傷めた。
私は夏目漱石のこころは読んだことがなかったので、この表現に初めてであった。「自信を傷めた」というような表現は今までに見たことがなかった。どうもこれは「wounded my confidence」の日本語訳なのではないかと、マーク・ピーターセンは推測している。また、
他を軽蔑する前に、まず自分を軽蔑したものとみえる。
も、rather~thanを強調するためのbeforeに関連しているのではないかと想像している。
I'd resign before I'd give my consent.
承諾を与えるよりは、辞任したほうがましだ。
というような英語の表現があるそうだ。
日本語由来の外来語の複数形
英語の名詞の複数形は通常"s"を付けるが、どうやら日本語由来の外来語には"s"を付けない場合がるようなのだ。それはその言葉が日本語を連想する場合は"s"がつかないということだ。例えば映画の七人の侍は「Seven Samurai」と"s"を付けないが、大君由来のtycoonはもはや日本語を連想しないようで、複数形はtycoonsになる。
倒置されない疑問文
通常疑問文は倒置されて、動詞が文頭に来るが、そのままの語順でイントネーションを変えることで、疑問文にすることも可能だ。では両者に意味の差はあるのか?倒置されない疑問文はどちらかというと、確認を求めるニュアンスになるらしい。
Don't you know? 知りませんか?
You don't know? 知らないんですか?