盛本昌広氏の戦国合戦の舞台裏を読んだ。後方支援とか兵站が戦国時代どの様であったのだろうかという興味から本書を読んだのだが、本書のカバーしている範囲が意外と広く、後方支援とか兵站に関しては触れていることは触れているのだが、知りたいと思っていたことはあまり得られなかった。
本書でカバーしているのは、出陣、進軍、兵站・軍事物資確保、陣地内の生活、対陣・防御、退陣、陣取の項目。
本書にも書かれているのだが、兵糧自弁が原則だというのだが、果たして本当なのだろうかというのが第一の疑問だ。一週間ぐらいの出陣期間ならまだしも、期間が1か月以上にも及んだ場合、各自で食糧等を確保していたら合戦にならないだろうというのが疑問なのだ。しかも本書でも、「兵糧の輸送は一般に百姓によって行われた」と書かれており、最初から自己矛盾するような説明になっている。ただし、信長・秀吉の頃から兵糧自弁の原則が崩れてきたと説明が後の方でなされているので、そちらの方の説明とも思えるのだが、当該箇所には「兵糧輸送は小荷駄隊が行い」と書かれており、北条氏康のことが記載記載されているので、どう理解するのが適切なのか混乱してしまった。
百姓は足軽として徴用されることもあるが、上記のように小荷駄隊のために徴用されることもあるし、相手方の田畑を収穫前に、あるいは収穫期に刈り取る「刈田」のために動員されることもあったらしく、たしかに刈田をするのならば百姓に任せた方が効率が良いのはその通りだろう。また、刈田というと対象は稲というイメージがわくが、麦に対する刈田もあったようだ。