未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすかを読んだ。大野和基氏がジャレド・ダイアモンド、 ユヴァル・ノア・ハラリ、 リンダ・グラットン、 ダニエル・コーエン、 ニック・ボストロム、 ウィリアム・J・ペリー、 ネル・アーヴィン・ペインター、 ジョーン・C・ウィリアムズの各氏に来るべき世界の未来に関してインタビューしてまとめたものだ。期待して読み始めたのだが、期待したほどの面白さはなかった。インタビュアーの問題なのか、本書が新書で総ページ数が250ページほどなので、掘り下げたインタビューがなされていないためなのか、判断がつきかねるが、物足りなさが残るインタビュー集というのが読後の印象だ。
ストーリーを守るために戦争に行く (ユヴァル・ノア・ハラリ)
ハラリ氏は「この世にリアルに起きていることと、想像の中で作り出したストーリーを区別する能力を失いつつある」と指摘し、「ストーリーに反するものがあれば、それが何であってもストーリーを守るために行動する。かなりの苦痛を生じさせてまでも、戦争に行く人たちがいるのは、そういうことです」と述べている。結局人間は自分の信じたいものを信じるということの別な表現だと思うし、世の中にフェークニュースが蔓延するのも、これが原因の一つだろう。
偶発核戦争は起こり得る (ウィリアム・J・ペリー)
アメリカのコロラド州にはアメリカに向かって発射されたミサイルを探知し、警報を発するシステムがあるのだが、 ペリー氏は50年間に3回の誤報があったというのだ。そのうち一回はアメリカが危うく反撃しそうになっていたと指摘している。この手のシステムで誤報が発せられるということがちょっと信じられないのだが、誤報の問題は解決されていることを祈るのみである。
それとおもしろいと思ったのは、政治家が発する「全ての選択肢がテーブルにある」という言葉の意味だ。これは「私は何をしたらいいのかわからない」いうとだという。今後この発言が出てきたときは特に注意しようと思った。