隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ハロー・ワールド

藤井太洋氏のハロー・ワールドを読んだ。本書は連作短編集で、ITベンチャー企業エッジに勤める(ただし、4作目で休職し、5作目では辞めたことになっているのであろうと想像する)文椎泰弘(フズイヤスヒロ)が主人公の最近のIT関連のテーマを盛り込んだSFになっている。収録作品は、「ハロー・ワールド」、「行き先は特異点」、「五色革命」、「巨象の肩に載って」、「めぐみの雨が降るとき」の5編。どの作品も面白くかけていて、好印象の書評を見かけるので、あえて疑問に思ったところをメモしてみたい。以下内容に触れる。

ハロー・ワールド
広告削除により、広告削除以上のメリットを与えるアプリ(しかもかなり重要な機能)で、利用者もなぜかそのことを知っているのに、武装勢力への普及率・浸透率が100%ではないのはなぜなのだろう?横のつながりのない組織なのか?それに秘密会議の場でスマートホンでブラウジングするのはまずからう。また、A/Bテストの延長線上で、iPhoneから動画と音声をアップロードする機能を入れたことになっているけれど、それは無理だろう。また、仮にそんなことが出来たとして、これは明らかに盗撮なので、開発者のアカウント停止になってもおかしくない。武装勢力が集まっているところにwifiがあるとは思えないので、低速の回線で動画まで送るのは難しいだろう。
行き先は特異点
P84に「リセットされて0に戻った」というような説明があるが、リセットされたのではなく、桁上がりのオバーフローで0に戻ったという説明でなければ変。P86で522件の修正提案(pull request?)がなされているのに、P92で記者が網を張っていて偶然見つけるというのはちょっと不自然。何かことさら目につくようなことでもあったのだろうか?
五色革命
P133に「高精度ドローンは軍も使う。狙撃目標の観測に使う」とあり、それはそうなのだろうが、今回の場合、狙撃側がドローンを直接制御していないので、狙撃目標が大まかにどこにいるかということはわかるが、射撃のための観測には使えたのだろうか?学生たちがやった腕を斜めにあげるしぐさというのは「ハンガーゲーム」の中に出てくるやつなのかな?だが、本を正せば、あれはローマ式敬礼ではないのだろうか?
巨象の肩に載って
P166の「ビットコインブロックチェーンが使えないかな、って考えている」の部分が理解できない。どういうことなのだろう?
めぐみの雨が降るとき
これもよく判らないところがある。「署名しなくても、仮想通貨を支配下に置く中国の計画に加担することには変わりはない」と書いてあるけれど、署名を拒否したら加担していることにはならないと思うのだが、なんかもやもやする話だった。