隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

ドニー・アイカーの死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相(原題 Dead mountain)を読んだ。実はこの本が出版されるまで、この事件のこのこは全く知らなかった。事件は1959年の冷戦下のソビエトウラル山脈で起きた。ウラル工科大学の大学生ら9名がウラル山脈にトレッキングに出かけたが、帰還しなかった。そして捜索隊が組織され、彼らの捜索が行われたが、登山チームはテントから1.5キロも離れた場所で、凄惨な死に様で発見された。氷点下の中ろくな衣服も身に着けづ、靴も履いていない。3人は頭蓋骨骨折などの重傷、女性メンバーの一人は舌がなくなっていた。また、遺体の衣服からは通常より高い放射線が検出された。最終報告書には「未知の不可抗力によって死亡」と記されるのみ。この事件は何が起きてこうなったのか非常に気になる。不可思議な力が働いてこのようなことが起こったとは思えないので、いったい何が起きたのだろうか?

本書はこの不可解な謎ー何が彼らを死に追いやったのか?-にアメリカ人のドキュメンタリー映画作家が挑んだ記録である。著者はこの事件を三つの視点で追っていく。一つはトレッキングの一行の視点。彼らは日誌と写真を残しており、それをもとに彼らの出発から事件当日までを追っていく。もう一つは、捜索隊の視点から迫る。捜索は難航を極めた。冬山での捜索という悪条件も重なり、全員の遺体を回収することは非常に困難であった。最初に5人発見されたが、残りの4人の遺体を回収するまでは3か月もかかった。そして、最後の視点は著者の視点である。著者はロシアに2度も訪れ、関係者にインタビューし、さらに冬季に実際にディアトロフ峠まで出かけて行っているのだ。

著者は本書の後半の方で、今まで巷間語られてきた事件の原因を一つづつ上げ、それを否定していく。

  1. マンシ族(現地人)の攻撃
  2. 雪崩
  3. 強風
  4. 武装集団
  5. 兵器実験
  6. 機密扱いになっている
  7. エイリアン

詳しくは本書を参照してほしいのだが、これらの原因は著者により否定されている。では、いったい何が原因なのだろうか?「事実は小説より奇なり」などと言われるが、著者がたどり着いた原因は正に現地に行ったから知りえたことがもとになっている。これが真相かどうかわからないが、願わくば現地に無人の定点カメラ等を備え付けて、そのようなことが本当に起きるのかどうか確かめてほしいと思った。

この本の原題はDead mountainで日本語にすれば、「死の山」になると思うのだが、「死に山」になっていて、こちらの方が不気味感が増してうまいタイトルだと思った。