恩田陸氏の私の家では何も起こらないを読んだ。この小説は怪談の連作短編で、扱っているテーマは幽霊屋敷だ。
その家は小さな丘の上に建っていて、周りには何もない。建物はかなり古いが手入れが行き届いている。修理をした大工の腕がよかったのだろう。家のそばにはリンゴの木が立っており、枝ぶりがいい。この家は古いだけあって、様々な人が住んでいたようだが、今はOという名の作家が住んでいる。短編の中では、この家で起こった様々なことが、それぞれの視点で語られていく。それが物語に共通していることの一つ。そして、もう一つが、悪さをするのは生きている人間だけだということ。死んでいる人間なんて可愛いものだ。
これ以上書くと完全にネタバレになるので書けない。怪談だけど、それほどの恐怖感はないが、何とも言えない不気味な雰囲気の小説だ。