隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

素数の未解決問題がもうすぐ解けるかもしれない。

ヴィッキー・ニールの素数の未解決問題がもうすぐ解けるかもしれない。(原題 Closing the Gap The Quest to Understanding Prime Numbers)を読んだ。

常々思うが素数というのは不思議だ。何が不思議だといって、そのように設計されたわけでもないのに、調べてみれば不思議な性質があるということがだ。例えば、2と3を除くと、素数は6の倍数+1か6の倍数-1なっている。また、素数ではないが、平方数は8の倍数、8倍数+1、8の倍数+4のいずれかになっている。などなど。この本でメインに扱っているテーマは、双子素数だ。双子素数というのは差が2の素数の組のことだ。例えば、3と5、5と7、11と13というような組だ。ではこのような素数の組は無限に存在するのか否か?これが双子素数予想だ。不思議なことに、誰が最初にこの予想を提唱したのかは定かではないという。素数自体は無限に存在するので、なんとなく双子素数も無限に存在しているような気もするのだが、今のところ、このことを厳密に証明した人物はまだいないということだ。

2013年5月13日にニューハンプシャー大学のチャン・イータン(張益唐)が差が70,000,000以下の素数の組は無限に存在するということを証明した。差が2の双子素数と比べると、差が7千万はとてつもなく大きいような気もするが、上限値が示されたことの意義は大きい。本書ではいかにこの値が小さなものになっていったのかを追っている。そのために複数の数学者が協力して議論していくために、インターネット上にpolymathプロジェクトと名付けられて場所で、オープンな議論が行われた。原書は2017年に出版されたようだが、その時点で、この値は246にまでになっており、en wikipedia twin primeを見ても246ままになっている。

本書の日本語のタイトルは「もうすぐ解けるかもしれない。」になっているけれど、研究は停滞しているのだろうか?