隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

脳はあり合わせの材料から生まれた

ゲアリー マーカスの脳はあり合わせの材料から生まれた(原題 KLUGE The Haphazard Construction of the Human Mind)を読んだ。

この本を読む前は、タイトルから、脳の進化に関して書かれているのだと思っていたのだが、実際は脳の進化の心理学側面(即ち進化心理学)について書いてある本だった。実は以下の記事を見てから、かなり心理学には疑問の目を向けているのだ。

心理学実験は極めて厳密に条件を整えないと結果が全く違ってくるというのは想像がつくのだが、多数の心理学実験で再現ができないとはどういうことなのだろうか?私はもともと心理学には眉唾的な印象を持っていたのだが、この記事を読んだ後では、信じるに足るものではないとい考えのほうが大きくなっている。

この本の4章に「選択」という項目があり、「経済学者の視点に立つと合理的ではない」という説明がなされていることが多数ある。例えば、100ドルの電子レンジが町はずれの電気屋で25ドル安く売っていると、ほとんどの人が買いに行く。しかし「100ドルの電子レンジ」を「1000ドルのテレビ」に置き換えると、買いに行く人はいなくなり、経済学的には合理的ではないという。これは本当に合理的ではないのだろうか?安くなる金額は両方とも25ドルだが、100ドルに対して25ドルと、1000ドルに対して25ドルでは意味合いが違うだろう。