トム・フィリップスのとてつもない失敗の世界史(原題 HUMANS A Brief History of How We F*cked It All Up)を読んだ。本書は我々人類が過去から未来にわたって犯してきた愚かしいミスをあげつらった本である。扱っている範囲は広範囲で、環境、外来種、独裁者、民主主義、戦争、植民地政策、外交、テクノロジーにわたっている。本書の作者はイギリスのジャーナリスト兼ユーモア作家で、文体がイギリス流のブラックなジョークというか皮肉になっていて、ちょっと鼻につくので、読者を選ぶかもしれない。実際、私はあまりなじめなかった。それと、知らないことも多々あったのだが、また同じくらい知っていることもあった。
知らなかったことでいえば、「穀物が人間を奴隷化した」というアイディアの最初の発案者はあのダイアモンド博士なのだとか。また、コロンブスは地球の大きさとアジアの大きさを間違って計算し、実際よりはアジアは近くにあると誤認していたらしい。もし、正しく計算していたら、果たして航海に出ていたのだろうか?まぁ、行ったのかもしれない。
17世紀前半のオスマントルコも酷い。後継者争いが起きないように、兄弟を暗殺したり、後継者がいなくなると困るので、鳥籠という隔離場所に幽閉したりを繰り返し、精神に異常をきたしているような人物を皇帝に据えたりを繰り返していた。しかも、その皇帝があまりにひどいときは暗殺により排除していたのだ。そんな状態でも国が持ったのだから不思議だ。