隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

わけがわかる機械学習 ── 現実の問題を解くために、しくみを理解する

中谷秀洋氏のわけがわかる機械学習を読んだ。タイトルを見て、機械学習でなぜそのような結果が得られるのかに関して説明している本だと思って読んだのだが、そういう本ではなかった。しかも、私は別な勘違いもしていた。AIや人工知能という言葉が具体的に何を指しているかわからないのと同じように、機械学習という言葉もあまり具体的に何かということを説明していない。通常は統計的処理とディープラーニングなのだろうが、後者らな最近は具体的にどのような手法を用いているかという用語を用いているので、単に機械学習と言ったら、最近では前者の統計的処理のことになってしまうのだろう。私は期待も込めてディープラーニングだと思って読み始めたのだが、そういう話は一切書かれていない。これは表紙の右下の方に書かれている小さな文字をよく見れば、読む前に分かったことだ。今後は、敢えて機械学習と書いている場合は、だいたい統計的処理なのだろうということを留意し、読む前に内容をよく確認しようと思った。

それと、「わけがわかる」という言葉も曲者だ。この意味するところは、各手法の数学的背景を説明するということで、機械学習のモデルが導き出した結果からその理由を説明するものではなかった。私が求めていたのはこれなのだ。

興味深かったのは、ベイズ線形回帰の計算はカルマンフィルターとそっくりに見えるのだが、この二つに関して詳しく論じているものはどこかにないだろうか。それと、問題を解決するためにどのモデルを選択するかを事前に決定する方法はないようで、モデルはあくまでもモデルで、実際の対象物ではないということだ。なので、モデルが問題解決に適応可能かどうかは実際に評価する以外にはないというのが、何とも残念な点でもあり、やはりそのようなものなのかという納得感もあった。