川崎悟司氏のカメの甲羅はあばら骨を読んだ。地球上の生物には共通の形態があり、種が変わればその形態に違いがある。しかし、種が変わっても基本的な構造には共通性があるということが改めて分かる本だ。タイトルがそのものズバリを表してるが、カメの甲羅は生物でも非常にユニークだが、その大元の構造はあばら骨だ。本書の表紙のイラストはちょっと気持ち悪いのだが、仮に人間の形態をカメに似せて変えてみると、そのようになっている。このような「人体で表すと」というイラストが色々な生物に関して具体的に描かれている。繰り返しになるが、このイラストはちょっと気持ち悪いのだが、それを見ると構造がどうなっているのかがなぜかわかりやすいのだ。
例えば、「象の鼻は上唇とくっついている」と説明されていて、確かに象の上唇は見たことがなく、人体に置き換えるとのイラストを見るとどうなっているのかわかりやすい。amazonのページにどのようなイラストが描かれているのかわかるので見てみるといいだろう。「ウマの前脚・後ろ脚は中指一本になった」というのも、ウマのあの足だけを見てもピンとこないのだが、人に置き換えたイラストを見るとわかりやすい。それと、フラミンゴの脚だ。脚の長い鳥などによくみられるのだが、人間と比べると膝のあたりが逆向きになっているように見えるが、実はあの部分は踵で、足の指の部分が非常に長くなっている一方、腿の部分は胴体に密着して見えなくなっているのだ。だから、全体としてみると膝が逆向きについているように感じるのだ。
外から見ただけではわからないのがキリンの仕組みだ。キリンの頭は心臓から2メータぐらい高い位置にあり、当然頭に血を押し上げるために、血圧が高い(約260mmHg)。水を飲むときは、心臓から3メータぐらい下に頭が来るので、大量の血液が脳に集まることになり、逆に頭を戻したときは急激に脳から一気に血が降下し、貧血になってしまいそうだが、そうはならない。なぜかというと、キリンの後頭部にはワンダーネットという網目状の毛細血管の塊があり、そこで脳に流れ込む血の量をコントロールしているのだ。
それと、なんとなくわかっていたようで、よくわかっていなかったのが、鶏胸肉とササミの関係。両方とも胸肉で、何が違うかわかっていなかったが、いわゆるササミは胸肉の内側にある小胸筋で、翼を振り上げるときに使う。一方胸肉は大胸筋で翼を振り下ろすときに使っている。