隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

アンダードッグス

長浦京氏のアンダードッグスを読んだ。この作品は北上ラジオの第21回で紹介されていた。

長浦京の『アンダードッグス』(KADOKAWA)は息つく暇のない手に汗握る小説だ!【北上ラジオ#21】 - YouTube

どんな小説かと一口に言うのも難しいが、ある種のアクション小説であり、スパイ小説でありという感じだろうか。主人公は農水省を追われた元官僚の古葉慶太だ。古葉は農水省の裏金作りに「国策に適う正しい行為だ」と言い聞かされてかかわったのだが、裏金作りがマスコミに暴かれ、公文書偽造容疑で地検特捜部の取り調べを受けることになった。起訴は免れたものの、農水省を追われた。それから3年、時は1996年の年末になっていた。古葉はネット証券会社に勤めていたのだが、顧客であるマッシモ・ジョルジアーニに呼ばれて軽井沢のホテルに向かっていた。そこでマッシモから告げられたのは、香港の恒明銀行本店から大量のフロッピーディスクと書類が運び出される。それらには世界の主要数十か国の要人の著しく不適切な投資記録が記録されているという。そのフロッピーと書類を奪うのに協力しろというのだ。こうして、古葉はとてつもない陰謀に巻き込まれていく。

これはくどくど説明すると全く面白くなくなるので、とにかく読んでみるしかないという感じがする。マッシモが集めたメンバーも誰が味方なのか、信用できるのかわからない。しかも、そのフロッピーや書類を狙っているのもマッシモだけではなく、ロシア・イギリス・中国・アメリカの諜報組織も割り込んできて、虚々実々の駆け引き、襲撃を繰り返しているうちに、どんどん人が死んでいく。内容に関しては、これ以上を書かない方がいいだろう。