隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

「違和感」の日本史

本郷和人先生の「違和感」の日本史を読んだ。本書は産経新聞に連載中の日本史ナナメ読みをまとめたもの。これを読んでいると、本郷先生色々とストレスが溜まっているのじゃないかと心配してしまうような記述がいくつかあった。

それはそれとして、本書の中で歴代天皇の中に「後」の号が付く天皇がいるという事の言及していて(加後号という)、有名なのが後醍醐天皇だろう。生前から後醍醐と呼ばれることを希望していたというのは有名な話だが、どうもそのように希望していたのは後醍醐天皇だけではないようなのだ。

後小松天皇もその一人らしいのだが、小松天皇という名前の天皇はいない。これは光孝天皇が小松帝という異称があったことに関係している。光孝天皇の陵墓が小松山にあったことから「小松の帝」と呼ばれていたというのだ。

似たような異称の例として、後水尾天皇がいる。水尾天皇という名前の天皇は存在せず、清和天皇の異称が水尾帝だったという。また、後西天皇という天皇がいるが、西天皇という名前はない。淳和天皇の異称が西院帝と呼ばれていた。ここでややこしいのが、当時天皇という呼称は用いていず、もっぱら〇〇院という呼び方をしていた。そうすると後西院院と院が2つダブることになるのだが、そうはせずに後西院とした。そして、大正14年に〇〇天皇という呼称に統一したときに、院の代わりに天皇で置き換えたので、後西天皇になってしまったのだという。何ともややこしい話だ。