隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

7.5グラムの奇跡

砥上裕將氏の7.5グラムの奇跡を読んだ。タイトルの7.5グラムとは何のことかというと、眼球の重さのことだ。この小説は目の検査に携わる視能訓練士の物語で、大学を卒業したての野宮恭一の成長物語でもある。私も定期的に眼科に通院していて、眼科で目の検査をしてくる人たちはいったいどういう立場の人なのだろうと疑問に思ったことはある。なんとなく看護師とは違うような気がしていたが、詳しく調べることはなかった。視能訓練士とはその検査をしてくれる人のことだ。

この小説は北上ラジオの第38回で紹介されていた。

優しさに満ちた物語が素晴らしい“眼科青春小説”『7.5グラムの奇跡』砥上裕將(講談社)を読むべし!【北上ラジオ#38】 - YouTube


物語は視能訓練士の国家資格試験に合格したものの、3月になっても就職が決まっていなかった野宮恭一がようやく採用されたのが北見眼科医院で、そこで働き始めた春から冬にかけての物語だ。不器用な恭一のまさに成長物語と言った感じのストーリーになっている。面白いストリーだと思うのだが、気になる点が2点あった。第2話の「瞳の中の月」に登場する同じく北見眼科医院で働く岡本真衣なのだが、特に説明がなく、本人が同僚だと説明しているので、この章を読んだときには同じく視能訓練士なのだと思った。新人研修と称した勉強会にも二人とも参加しているのだ。ところが、第五話の「光の瞬目」では看護師であると書かれていて、あれっと思った。確かに同じ病院で働いているのだから同僚で間違っていないが、説明不足を感じた。それと、もう一つ。ネタバレになるので詳細を書かないが、最初と最後が同じというものどうなのだろうと思った。最初は気づかず、最後は気づいたという事で成長を表現したかったのか?