東川篤哉氏の純喫茶「一服堂」の四季を読んだ。本書は短編集で、4編収録されたおり、「春の十字架」、「もっとも猟奇的な夏」、「ひり取られた死体の秋」、「バラバラ死体と密室の冬」がそれぞれのタイトルだ。この作品は一服堂という純喫茶を父親から譲り受けた安楽椅子が事件の謎を解決するのが共通のパターンとなっているが、この名前の通り、彼女は安楽椅子探偵なのだ。喫茶店を経営しているものの、超人見知りで、接客もままならず、喫茶店は閑古鳥が鳴いているという設定になっていて、そこにたまたま訪れた客が遭遇した猟奇的な殺人事件を、話を聞くだけの安楽椅子探偵の椅子が鋭い推理によって解決する。今回の作品の特徴と言えば、どの事件も猟奇的な事件で、1話目と2話目は十字架に被害者が括り付けられていたり、3話目と4話目は死体損壊事件になっている。当然なぜ犯人はそのような事をする必要があったのかという事をちゃんと説明できるような推理になっている。それと4話目はメインの推理以外にも物語の構成に仕掛けがあって、すっかり騙されてしまった。3話目の終わり方と4話目の始まり方なので、まさかそんなことになっているとは言うのが、正直な感想だ。それと更に4話目だが、厳密な推理の検証をしてはいけないのだろうが、ネタバレになるので詳細は書かないが、ちょっと実行するのには無理があるような気がする。