隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

まぜるな危険

高野史緒氏のまぜるな危険を読んだ。本書は短編集で、「アントンと清姫」、「百万本の薔薇」、「小ねずみと童貞と復活した女」、「プシホロギーチェスキー・テスト」、「桜の園のリディヤ」、「ドグラートフ・マグラノフスキー」の6編が収録されている。

本書のタイトルが表しているように、ある物語と別の物語を融合したらどうなるのかという実験的な小説が収録されている。ミステリー的な展開をする小説もあるが、純粋なミステリーではなく、オチはSF的になっている。が、科学的な知識が必要なわけではなく、なんとなく不思議な感じで終わっているものが多い。混ぜている物のうちの一つがロシアに由来しているのは著者がロシアに傾倒しているからなのだろうか。最初に著者による作品の背景が収録されているもの本書の特徴だ。

読んでいてい、色々よくわからないところがあった。「アントンと清姫」のアントンとは誰の事なのだろう?安珍に似ているロシア人の名前を適当にはめただけなのか、それともだれかいるのか?「百万本の薔薇」も最後の所がよく理解できなかった。「こっちに来る」と言っているのはどこの世界なのだろう?「小ねずみと童貞と復活した女」は屍者達の帝国デ一度読んでいたが、改めて読んでみると、うまいこと色々な物語が混ざっていて、面白く感じた。「桜の園のリディヤ」の時間SFやドグラマグラに悪霊を混ぜた「ドグラートフ・マグラノフスキー」も面白かった。

以前から「カラマーゾフの妹」を読もう読もうと思っているのだが、なんとなく、「カラマーゾフの兄弟」を読んでから読んだ方がいいのかと思っていて、でも、カラマーゾフの兄弟は難解そうなので二の足を踏んでいる。素直にカラマーゾフの妹だけ読んだ方がいいのだろうか?