東川篤哉氏の 仕掛島を読んだ。
孤島、遺産相続、悪天候による外界との隔絶、そして殺人事件といかにもの設定のミステリーで、これで連続殺人事件なら完璧だったのにと思ってしまった。東川氏の作品をすべて読んでいるわけではないが、このような設定のミステリーは今まで読んだことがなかった。ただ、シリアスにはならず、随所に笑いを交えてくるのはいつもの作風だ。
岡山県に近い瀬戸内海にある斜島に西大寺家の一族が集まっていた。その島には一族の別荘である御影荘があり、そこで西大寺吾郎の遺言が公開されることになっていた。タイミングが悪いことに、日本に2つの台風が連続して接近していて、程なくして斜島は外部と隔絶されることになってしまう。そして、遺言状公開の翌日、相続人の一人が死体となって発見された。死体は頭蓋骨が陥没したり、鼻骨が折れていたり、額にも切り傷があり、肋骨も折れていた。外部から強い力を全身に加えられたようなのだ。
死んだ相続人を探してきた探偵小早川隆生が島に滞在しており、彼が事件を捜査することになり、遺言状の公開を行った法律事務所の弁護士矢野紗耶香が巻き込まれて探偵助手を務めることになる。探偵の小早川隆生が役に立つのか立たないのかという感じは、いつもの東川氏の小説の登場人物の感じが漂っている。最初にあるプロローグが物語にどうかかわってくるのかなかなかわからなかったのだが、実は非常に重要なエピソードであることが後々わかってくる。だた、このタイトルはちょっと良くないのではと思う。何らかの仕掛けがあることは自明かもしれないが、タイトルにつけるのはちょっとあまりにもあからさまではないだろうか?