伊藤計劃トリビュートを読んだ。TAKさんが、伊藤計劃トリビュートの紹介をしていて、面白そうだったので読んでみた。
http://tak-thinking-room.hatenablog.com/entry/2017/06/02/212211
をテーマとした8編が収録されている。
南十字星は、脳にうえつけられた可塑神経回路網でパーソナルな感覚までも共有し、そのデータは平準化され「正しい人」という集合自我が更新され、それがフィードバックされてるような世界が舞台になっている。しかし、それを拒否して難民として生きている人々もいる。民俗学・人類学の観点から戦闘相手を理解し、戦争の展開に利用する人理部隊に属するシズマが主人公になっている。この物語は長編小説の出だしのようで、多分その長編とは「クロニスタ 戦争人類学者」だと思う。こちらも読んでみようと思う。
未明の晩餐は大規模気候変動に対応するために新たに敷設された鉄道路線が全国をつなぎ、旧来の鉄道網は打ち捨てられて、全国の自治州からはぐれた無縁者たちが不法に住み着いている駅が舞台になっている。そこで死刑執行される囚人に最後の晩餐を出す料理人の話だ。