隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

見つけたいのは、光。

飛鳥井千砂氏の見つけたいのは、光。 を読んだ。本の雑誌で北上氏が「今年のベスト1だ!」と書いてあるので、読んだ。www.webdoku.jpなかなか説明するのが難しいが、30代から40代の三人の女性が抱えている色々な問題(恋愛、結婚、出産、子育て、仕事)などに…

ラブカは静かに弓を持つ

安壇美緒氏のラブカは静かに弓を持つ を読んだ。この本も本の雑誌で紹介されていた。 www.webdoku.jp 安壇美緒『ラブカは静かに弓を持つ』(集英社)はスパイ活動を描いた小説。ただし、諜報機関や謀略とは無縁の、日常を舞台としたスパイ小説である。 多分…

爆発物処理班の遭遇したスピン

佐藤究氏の爆発物処理班の遭遇したスピンを読んだ。本書は短編集で、本のタイトルにもなっている表題作を含む8編が収録されている。収録作は、「爆発物処理班の遭遇したスピン」、「ジェリーウォーカー」、「シビル・ライズ」、「猿人マグラ」、「スマイルヘ…

映画の正体 続編の法則

押井守監督の映画の正体 続編の法則を読んだ。これは押井守の映画50年50本 - 隠居日録の続編的な本で、今回は映画をpart2という視点で語ったもの。前回である種語りつくした感はあるし、前巻や別の本と重複したような内容の所もあるが、今回は続編がある映画…

やっと訪れた春

青山文平氏のやっと訪れた春を読んだ。この小説背景はちょっと込み入っている。舞台になっているのは架空の藩である倉橋藩だ。近習目付を拝命してから約40年がたち、長沢圭史はとあることで職を辞すことを決意し、致仕した。そして、同役で同時に近習目付を…

たんぽぽ球場の決戦

越谷オサム氏のたんぽぽ球場の決戦を読んだ。本書は北上ラジオの第48回で紹介されていた。www.youtube.com野球の小説だ。と言っても、草野球のチームが舞台で、そのチームに参加しているのはかって野球に挫折した人たち。主人公の大瀧鉄舟は高校2年の時埼玉…

絶対数学の世界 ―リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想―

黒川信重氏の絶対数学の世界 ―リーマン予想・ラングランズ予想・佐藤予想―を読んだ。この夏に、この本以外にも2冊の数学関連の本(数学の大統一に挑む - 隠居日録、計算する生命 - 隠居日録)を読んだが、この本が一番内容が理解できなかった。というよりも、…

一九三九年 誰も望まなかった戦争

フレデリック・テイラーの一九三九年 誰も望まなかった戦争 (原題 A People's History The War Nobody Wanted)を読んだ。本書は第二次世界大戦に至る英独開戦状況を、当時の新聞、日記、回想録あるいは実際のインタビューによって事細かに追っていった記録で…

raspberry pi 4B上でFreeBSD13.1 zfs rootfsがブートした

前回の続き。ようやく、zfsでブートできた。何が問題だったかというと、 最初にrpi4に使っていたUSB-ATAのコントローラーとrpi4の相性が悪かった md上にシステムを書き込んで、ディスクにコピーしていた 1に関しては、よくわからないが、rpi4に1台だけつない…

ロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー

バルバラ・マッツォライのロボット学者、植物に学ぶ―自然に秘められた未来のテクノロジー (原題 LA NATURA GENIALE)を読んだ。生物をモデルに模倣して、それを工学的に再現してロボットに適応するのが著者の目指している所で、このこと自体は今やあまり珍し…

空をこえて七星のかなた

加納朋子氏の空をこえて七星のかなたを読んだ。本の雑誌で北上氏が「これほど読後感のいい小説も珍しい」と書いていて、興味を持って読んでみた。www.webdoku.jpそこで紹介されているのは短編は、廃部の危機にあった文芸部員、天文部、オカルト研究会が合併…

raspberry pi 4Bを買った、FreeBSD13.1のインストールをした

きっかけはHDDが壊れたかもしれない事だった。あのHDDに全面にわたりランダムデータを書き込んでみたが、エラーは発生しなかった。その後にセルフテストしたが、エラーは検出されなかった。そうなるとこれは本当に壊れたのだろうかという疑問が湧いてきた。…

爆弾

呉勝浩氏の爆弾を読んだ。物語は冴えない中年の男が警察で取り調べを受けている所から始まる。名前はスズキタゴサク、年齢49歳。酒屋の自動販売機をけっているのを止めに入った店員を殴り捕まった。本人曰く、家で缶チューハイを飲みながらジャイアンツ―ドラ…

英文法を哲学する

佐藤良明氏の英文法を哲学するを読んだ。本書を読んで、今まで中学・高校で学んだ英文法の中のいわゆる5文型からどこかの時点で解き放たれるべきだったのであろうという事を強く感じた。何の前提知識のない子供にとっては5文型は十分有用なのだろうが、あれ…

数学の大統一に挑む

エドワード・フレンケルの数学の大統一に挑む (原題 Love and Math The Heart of Hidden Reality)を読んだ。エドワード・フレンケルは旧ソビエト出身の数学者で、現在はラングランズ・プログラムという数学の中の異なる分野間の概念にお互いに密接に関係して…

彼女。 百合小説アンソロジー

本の雑誌で北上次郎氏が「彼女。」の中の「恋澤姉妹」に注目していたので、読んでみた。www.webdoku.jp本書はアンソロジーで、収録されている作品は 椿と悠 (織守きょうや) 恋澤姉妹 (青崎有吾) 馬鹿者の恋 (武田綾乃) 上手くなるまで待って (円居挽) 百合で…

E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか

山田克哉氏のE=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のかを読んだ。E=mc2はあまりにも有名な式であるけれど、アインシュタインはいったいこの式をどのように導き出したのかは以前から不思議に思っていて、この式だけではなく、どのような発想で相…

捜索者

タナ・フレンチの捜索者 (原題 The Searcher)を読んだ。本作品は北上ラジオの第46回で紹介されていた。www.youtube.comシカゴ警察を辞めて、アイルランドの片田舎に移り住んだカル・フーパーは、廃屋を買い、自分で修理しながら、静かに暮らしていた。ある日…

愚かな薔薇

恩田陸氏の愚かな薔薇を読んだ。ジャンル的にはファンタジーになると思うのだが、何か非常に土俗的な感じがするストーリーだった。場所も盤座という土地だけが舞台になっていて、そこで行われる祭りからその感じがするし、その地にキャンプと称して集められ…

白の闇

ジョゼ・サラマーゴの白の闇(原題 ENSAIO OBRE A CEGUEIRA)を読んだ。それは何の前触れもなく突然始まった。だいたいの人は前触れがあってもそれに気づかず、何かが突然起こったと思うのだが、この場合は本当に何の前触れもなかった。ある時車を運転していて…

スピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか

デビッド・クアメンのスピルオーバー――ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか (原題 Spillover Animal Infections and the Next Human Pandemic)を読んだ。スピルオーバーとは異種間伝播のことで、異なった種の間でウィルスや細菌が感染することである。…

図説 中世ヨーロッパの商人

菊池雄太(編著)氏の図説 中世ヨーロッパの商人を読んだ。以前会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語 - 隠居日録を読んだ。この本は会計の歴史ではあるが、ある種経済史でもあり、ヨーロッパの商人の歴史をルネッサンス以降の時代から語っ…

宙ごはん

町田そのこ氏の宙ごはんを読んだ。本作品は北上ラジオの第45回で紹介されていた。www.youtube.com主人公はタイトルにある宙そらちゃんという女の子で、この子とちょっと訳ありのその母親との物語だと思って読み始めたら、後半に行くにつれて色んな事が明らか…

計算する生命

森田真生氏の計算する生命を読んだ。本書は「心」と「身体」と「数学」とを結び合わせて綴られた数学エッセイである。人間にとって数えるという事の起源から語り始め、それから代数に話が広がり、代数と幾何の結びつき(図形の本質が方程式であるという視点)…

対テロ工作員になった私

トレイシー・ワルダーの対テロ工作員になった私「ごく普通の女子学生」がCIAにスカウトされて (原題 THE UNEXPECTED SPY)を読んだ。タイトルにある通り(だが、日本語のタイトルはちょっと誇張し過ぎていると思うが)、教師志望の普通の女子大生がCIAを就職先…

匿名作家は二人もいらない

アレキサンドラ・アンドリューズの匿名作家は二人もいらない(原題 Who is Maud Dixon?)を読んだ。英語の原題にあるモード・ディクソンは処女作がベストセラーになった匿名作家のことで、本名はヘレン・ウィルコックスだ。プロローグではそのヘレンがモロッコ…

夜の都

山吹静吽氏の夜の都 を読んだ。何とも言えない不思議な小説だった。大正時代に父と義母とともに日本にやって来た14歳の少女ライラは、父の仕事の間保養地のホテルで過ごすことになった。ホテルの近くにある古い祠に迷い込んだライラは、岩窟の中にある岩井戸…

かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

宮内悠介氏のかくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖を読んだ。この作品は連作短編ミステリーで、著者自身が第一話の覚書で明かしているように、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」の形式を明治時代の実在の芸術家のパンの会に当てはめている。メイ…

銀河の片隅で科学夜話 物理学者が語る、すばらしく不思議で美しい この世界の小さな驚異

全卓樹氏の銀河の片隅で科学夜話を読んだ。ジャンルとしては科学エッセイで、平易な文章で書かれていて、非常に読みやすい。この中で特に印象に残ったのは第13夜に出てきた「ガラム理論」だ。ガラム理論とはフランスの理論物理学者のセルジュク・ガラムが、…

密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック

鴨崎暖炉氏の密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリックを読んだ。本書は、 「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」 という事が裁判所により認定された世界での密室を扱ったミステリーだ。そういう意味ではある種の特殊な世界でのミステリ…