隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

楽園の真下

荻原浩氏の楽園の真下を読んだ。本作は北上ラジオ第9回で紹介されていた。 www.youtube.com藤間達海はフリーのライターで、目下「びっくりな動物図鑑」という本の執筆中だったのだが、何匹か目のドジョウのような企画で、筆が進まなかった。そんなときに志手…

きまぐれ砂絵

都筑道夫氏のきまぐれ砂絵を読んだ。落語推理 迷宮亭を読んで、久しぶりになめくじ長屋捕り物さわぎシリーズを読みたくなったのだが、これを最初に読んだのは多分今から30年以上前なので、内容に関してはかなり記憶があいまいになっていた。自分の記憶では、…

書評稼業四十年

北上次郎氏の書評稼業四十年を読んだ。これは北上ラジオの特別編で紹介されていた。www.youtube.com上のラジオでも言及されているし、本書のあとがきでも書かれているが、かって中間小説というカテゴリーがあった。私がその言葉を聞いて、意識していたのはた…

いつかの岸辺に跳ねていく

加納朋子氏のいつかの岸辺に跳ねていくを読んだ。本作は北上ラジオの第7回で紹介されていた。 www.youtube.com この回が配信されたのが2019年8月22日で、多分その直後には一度再生していたのだが、実際に本を読むまで半年ぐらい経過していたので、このラジオ…

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー

ジェームズ・C・スコットの反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー (原題 Against the Grain A Deep History of the Earliest States)を読んだ。本書では、人類がどのように国家を作り上げてきたのかということを考察している。人類が、狩猟採取→農耕…

展望塔のラプンツェル

宇佐美まこと氏の展望塔のラプンツェルを読んだ。北上ラジオの第8回目で紹介されていた。www.youtube.com松本悠一は児童相談所に勤めており、多摩川市の子供支援センターの前園志穂と石井壮太の状況を確認すために、石井家を訪問したのだが、家には誰もいな…

我らが少女A

髙村薫氏の我らが少女Aを読んだ。合田雄一郎シリーズ物の一冊だが、この小説では中心人物ではない。彼はかって起きた事件の現場指揮者として、現在は警察大学の教授として登場する。物語は2017年上田朱美という女性を同棲相手の男が殺害したことから動き出す…

データは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学

ゲアリー・スミスのデータは騙る 改竄・捏造・不正を見抜く統計学 (原題 Standard Deviations Flawed Assumptions, Tortured Data, and Other Ways to Lie with Statics)を読んだ。本書でには少し考えれば信頼できないことがわかる、捻じ曲げられた主張を事…

数の女王

川添愛氏の数の女王を読んだ。本書は人々が固有の「運命の数」を持つ世界のファンタジー。しかし、その世界ではなぜか計算が禁じられていた。主人公のナジャは王妃の娘であるが、実の子ではなく、幼少の頃両親が流行り病で亡くなったのを哀れんだ王妃に引き…

クララ・ホイットニーが綴った明治の日々

佐野真由子氏のクララ・ホイットニーが綴った明治の日々を読んだ。このようなアメリカ女性が明治初期に日本に滞在し、少なからず日本に影響を与えていたということを全く知らなかった。更に、彼女は勝海舟の三男と結婚していたというのだから驚きだ。勝海舟…

Iの悲劇

米澤穂信氏のIの悲劇を読んだ。周辺市町村が合併して誕生した南はかま市。その東側に位置した旧・間野市の更に東端に蓑石という村があった。市街地を抜け、交通量の少ない山道を渓流に沿って進んでいくと、左右から暗い山が迫ってくる。道が消えてしまうよう…

生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者

アンドリュー・メインの生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者(原題 The Naturalist)を読んだ。アメリカの北西部、カナダとの故郷に位置するモンタナ州、その山中のフィールドワークをしていた生物情報工学の教授であるセオ・クレイはジョニパー・パーソンズの…

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲

大塚已愛氏のネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲を読んだ。時代は19世紀末、場所はロンドン。ハンズベリー男爵家の娘エディス・シダルは父親に頼まれ贈り物の絵画を探すために画廊を訪れいてた。その画廊で最近発見されたルーベンスの「婚礼の日」という作…

クジラアタマの王様

伊坂幸太郎氏のクジラアタマの王様を読んだ。お菓子メーカーの宣伝広報局に勤めている岸は出荷された新商品のマシュマロのお菓子に画鋲が混入していたという苦情を発端に人気ダンスグループの小沢ヒジリと都議会議員の池野内征爾と知り合った。それはあたか…

まほり

高田大介氏のまほりを読んだ。まほりが何を意味するかに触れてしまうと、ネタバレになってしまうので書けない。途中で末保利のことだというのがわかるのだが、実はこれは万葉仮名で書いているだけで、それが何であるかを表していない。この物語は二人の視点…

medium 霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼氏のmedium 霊媒探偵城塚翡翠を読んだ。推理作家の香月史郎は大学時代のサークルの後輩である倉持結花に頼まれて同行した先で霊媒師の城塚翡翠に会った。霊媒師の彼女は、死者の匂いを感じることができるという。結花は町中の占い師に見てもらってか…

謎解き 聖書物語

長谷川修一氏の謎解き 聖書物語を読んだ。本書のタイトルになっている聖書だが、この本で扱っているのはいわゆる旧約聖書のこと。聖書を実際に読んだことはないが、その中の物語、例えば創世記、ノアの箱舟、バベルの塔、出エジプトなどのエピソードは映画な…

線は、僕を描く

砥上裕將氏の線は、僕を描くを読んだ。本作は北上ラジオの第5回目で紹介されていた。www.youtube.comこの小説は第59回のメフィスト賞の受賞作なのだが、メフィスト賞というとなんとなくミステリーの賞だという風に思い込んでいた。しかし、募集要項には「エ…

プーチンとロシア革命

遠藤良介氏のプーチンとロシア革命 百年の蹉跌を読んだ。著者は産経新聞で11年半の長期にわたりモスクワ特派員としてソビエト連邦・ロシアで取材した記者だ。2017年から産経新聞のオピニオン欄に80回にわたって連載した記事に、加筆修正して一冊にまとめたの…

私の家では何も起こらない

恩田陸氏の私の家では何も起こらないを読んだ。この小説は怪談の連作短編で、扱っているテーマは幽霊屋敷だ。その家は小さな丘の上に建っていて、周りには何もない。建物はかなり古いが手入れが行き届いている。修理をした大工の腕がよかったのだろう。家の…

踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》

松尾龍之介氏の踏み絵とガリバー《鎖国日本をめぐるオランダとイギリス》を読んだ。あのジョナサン・スイフトの書いたガリバー旅行記のガリバーと踏み絵が関係しているということが一つの本書のテーマになっていて、そこから戦国から江戸時代にかけての日本…

インソムニア

辻寛之氏のインソムニアを読んだ。物語は、2017年2月、アフリカ中央部に位置する南ナイルランドで平和維持活動に従事する自衛隊に、現地で活動する国際NGOから緊急要請が入ったところから始まる。ジュベルを拠点に医療分野で活動するNGOの移動診療車両が行方…

撰銭とビタ一文の戦国史 (中世から近世へ)

高木久史氏の撰銭とビタ一文の戦国史 (中世から近世へ)を読んだ。 貨幣・銭とは まず最初に本書では貨幣・銭に関して次のように定義している。 交換手段と価値尺度の機能を持つ媒体の中で汎用性が高いもの、またはその機能そのものを、私たちは貨幣と読んで…

ランドスケープと夏の定理

高島雄哉氏のランドスケープと夏の定理を読んだ。姉のテアは12歳で故郷のグリーンランドを離れ、日本の大学に進んだ。17歳で宇宙物理学の博士号を取得する前に助教になった。というのも極めて優秀で、様々な理論を発表し、そして、22歳で教授になった。だが…

FreeBSD 12.1をNaopi NEO2上でセルフビルドするのは大変

FreeBSD 12.1がリリースされたので、早速ソースコードをsvn経由で取得して、ビルドしようとしたのだが、メモリー不足でビルドにてまどった。12.0の時は特に何も考えずに、 # make -j2 buildworld # make -j2 kernelでユーザーランドも、カーネルもビルドでき…

会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

田中靖浩氏の会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語を読んだ。私は歴史物の一冊として面白く読んだ。会計の歴史に関して書かれている本ではあるが、この本で実際の会計のことを学ぶのはジャンルが異なっていると思う。会計に関する歴史を…

川っぺりムコリッタ

荻上直子氏の川っぺりムコリッタを読んだ。本書は北上ラジオの第6回目で紹介されていた。www.youtube.com主人公の山田は高校二年生の時母親に捨てられた。二万円を渡され、「お前とはもうこれで終わりだよ」と言われた。当然そんな二万円はアットいう間に無…

雪が白いとき、かつそのときに限り

陸秋槎氏の雪が白いとき、かつそのときに限り(原題 当且仅当雪是白的)を読んだ。このミステリーには2つの事件が描かれている。5年前の事件と、そして、今回の事件。これらの事件は中国南部のZ市の高校で、冬の雪の降った真夜中に起きた。事件発生時には雪は…

進化論はいかに進化したか

更科功氏の進化論はいかに進化したかを読んだ。本書は2部構成になっていて、まず前半でダーウィンの進化論について解説している。ダーウィンの何が正しくて、何が間違っていたのかがメインのテーマだ。後半は生物の進化がどのように起きてきたのかの仮説だ。…

戦場のアリス

ケイト クインの戦場のアリス(原題 The Alice Netowrk)を読んだ。この本は、北上ラジオの第4回目で紹介されていた本だ。www.youtube.com1947年七月、第二次世界大戦の傷が癒えつつある頃、十九歳のシャーリー・セントクレアは母親とニューヨークを旅立ち、ス…