隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

無線LAN死亡

先週の木曜日(8月9日)の夕方に気が付いたらiPhone 6Sと無線LANの接続が切れていた。ほかの無線LANを使う端末を見てもやはり接続が切れているので、何らかの理由で動作不良になったのだろうと思い、電源を入り切りをしていると、再び動作し始めた。やれやれ…

蜜蜂

マヤ・ルンデの蜜蜂 (原題 Bienes Historie 蜜蜂の歴史)を読んだ。この物語は三つの家族の物語で、三つの異なった時間軸を三つの異なった語り手が物語を進めていく。第一の視点は2098年の四川省に住むタオという女性。彼女の住む世界ではすでに蜜蜂が絶滅し…

あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠

キャシー・オニールのあなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠 (原題 Weapon of Math Destruction)を読んだ。本書の著者キャシー・オニールは異色の経歴の持ち主だ。彼女は数学者であり、大学で数学を専攻して博士号を取得し、コロンビア大学…

NHKブログに夏休み子ども科学電話相談のテキスト書き起こしが掲載されていた

今年の夏もNHKラジオ第一で「夏休み子ども科学電話相談」を放送している。そして、なぜか、今年はNHKのラジオブログでテキストの書き起こしが掲載されている。今なら聞き逃しサービスで音声を聞くこともできる。【書き起こし】「人間はなぜ争うのですか?」 …

修道女フィデルマの探求

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの探求を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

コルヌトピア

津久井五月氏の コルヌトピアを読んだ。本作は2017年の第五回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作である。西暦2049年東京都心南部で直下型地震が発生し、荒川両岸と環状八号線沿いの建物が焼失・倒壊し、三万五千人の人々が亡くなった。その災害復興の過程で、被…

エピゲノムと生命

太田邦史氏のエピゲノムと生命を読んだ。DNAが組み合わさることにより、我々を構成する細胞の遺伝情報を記録しているが、DNAの情報は変わらないのに、細胞の性質が変化し、その変化が記録・継承されるという現象がある。これをエピジェネティクスを呼んでい…

平安朝 皇位継承の闇

倉本一宏先生の 平安朝 皇位継承の闇を読んだ。歴史上暴虐・狂気の天皇として記録されている歴代の天皇が何人かいるが、なぜそのような伝説が残っているのを考察した一冊だ。本書のタイトルに平安朝と書かれているが、まず序章で扱われているのは武烈天皇だ…

グリフォンズ・ガーデン

早瀬耕氏のグリフォンズ・ガーデンを読んだ。プラネタリウムの外側 - 隠居日録が面白かったので、デビュー作のこちらも読んでみたのだが、こちらも何とも言えない不思議な小説になっている。こちらではIDA-10がバイオコンピューターとして登場していて、プラ…

司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像

一坂太郎氏の司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰、龍馬、晋作の実像を読んだ。実は私は司馬遼太郎の小説を読んだことがない。子供の頃は歴史小説とか時代小説に興味がなかったのと、ある程度年を取ってからは、読書に割ける時間が限られてしまって、長い小説…

世界の終わりの天文台

リリー・ブルックス=ダルトンの世界の終わりの天文台 (原題 Good Morning, Midnight)を読んだ。この小説はカナダの北極圏にあるバーボー天文台のオーガスティン・ロフタスの物語と人類初の木星有人探査船アイテルの搭乗員のサリー・サリバンの物語が交互に語…

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史

歴史は実験できるのか――自然実験が解き明かす人類史(原題 Natural Experiments of History)を読んだ。タイトルの前半だけを見て、「そりゃ、歴史の実験というのは不可能だろう。いったいどういう内容が書かれているのだろう?」と思った。しかし、本書には副…

戦国大名の兵粮事情

久保健一郎氏の 戦国大名の兵粮事情を読んだ。戦国合戦の舞台裏 - 隠居日録を読んだのだが、わかったようなわからないようなもやもやした感じになっていたので、別な本を読んでみたのだ。今回の本は兵糧が中心になっているので、知りたいことがズバリと書か…

不便ですてきな江戸の町

永井義男氏の不便ですてきな江戸の町を読んだ。永井氏は作家・江戸風俗研究家で、本書は小説の体裁をとっているが、どちらかというと江戸の生活・風俗を紹介・解説することが主軸だと思う。物語の主人公は出版社勤務の島辺国広と大学を定年退職し古文書解読…

嘘の木

フランシス・ハーディングの嘘の木(原題 The Lie Tree)を読んだ。訳者あとがきによると、本書はイギリスで出版されて、現地の児童文学賞の候補になったり、児童文学賞を受賞したりしているということなので、児童文学の範疇に入るのだろうが、単純な児童文学…

もういちど読む 山川 日本史史料

もういちど読む 山川日本史史料を読んだ。本書は山川出版の詳説日本史に掲載されている史料のうち48点を選んで解説している。史料は現代語訳されており、解説も付いているので読みやすいのだが、原文もぜひ載せてほしかった。 大化の改新の詔 日本史のツボ -…

戦国合戦の舞台裏

盛本昌広氏の戦国合戦の舞台裏を読んだ。後方支援とか兵站が戦国時代どの様であったのだろうかという興味から本書を読んだのだが、本書のカバーしている範囲が意外と広く、後方支援とか兵站に関しては触れていることは触れているのだが、知りたいと思ってい…

カラー図解 Raspberry Piではじめる機械学習 基礎からディープラーニングまで

Raspberry Piではじめる機械学習をつらつらと眺めてみたのだが、「果たしてどんなものなのだろう? Raspberry Piがどれぐらい使えるのだろうか?」というのが率直な疑問だ。なぜRaspberry Piを用いるかの理由として筆者は以下の3点を挙げている。 Linux系OS Py…

プラネタリウムの外側

早瀬耕氏のプラネタリウムの外側を読んだ。本書は連作短編で非常に不思議な小説群なのだが、それに負けづ劣らず作者の経歴も不思議だ。1992年の4月に「グリフォンズ・ガーデン」が早川書房から刊行され作者はデビューした。新人賞を取ったわけでもないのに、…

戦国史の俗説を覆す

戦国史の俗説を覆すを読んだ。本書は比較的よく知られている定説が実は誤っていたということをまとめた本である。取り上げられているトピックは以下の通り。 本当の鉄砲伝来はいつだったのか 川中島の戦いは何回行われたのか 信長の「天下」は日本全国を指す…

英語のこころ

マーク・ピーターセンの英語のこころを読んだ。相変わらずいろいろ知らないことを発見した。 英語のism どうも私には英語の~ismという単語を見た時には、直観的に~主義に相当するものだと思い込んでしまうのだが、最近よく使われている英語ではこの対応が当…

書架の探偵

ジーン ウルフの書架の探偵(原題 A Borrowed Man)を読んだ。 本書の主人公はE.A.スミス。職業は蔵者。蔵者とは蔵書になぞらえた言葉で、図書館に備えられている再生体(リクローン)で、その時代に蘇った文学者のことである。最初のE.A.スミスはミステリーの作…

日本史のツボ

本郷和人先生の日本史のツボを読んだ。本書は7つの項目から日本史を俯瞰しようという試みで、7つの項目とは、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の項目だ。と言っても、これらの項目は互いに結びついているので、完全独立には論じることができないの…

キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけ…

マツリカ・マトリョシカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マトリョシカを読んだ。2017年8月にこのシリーズのマツリカ・マジョルカとマツリカ・マハリタ を読んだのだが、その時はもともとの単行本の出版から時間が空いているから、このシリーズはもう出ないのだろうなと思っていた。だが、そ…

合成生物学の衝撃

須田桃子氏の 合成生物学の衝撃を読んだ。本書は毎日新聞社の記者である須田氏が米国留学中に研究・取材した「合成生物学」に関する内容を一冊にまとめたものである。合成生物学とは、人為的に遺伝子のセットを作り人工的な生命を作ったり、あるいは遺伝子を…

虚談

京極夏彦氏の虚談を読んだ。京極氏の作品を読むのは本当に久しぶりだ。最後に読んだのがいつだったか思い出せないぐらいだ。この作品は怪談ならぬ虚談だ。物語は怪談のように話として語られていくのだが、ストーリーの中で突然嘘が出てくる。そうすることで…

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた

井上真偽氏の 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えたを読んだ。本書は奇跡を探求する上笠シリーズの2作目。今回は前半部分の事件発生編の所には上笠は全然登場しない。前巻にも登場していた元中国マフィアの一員、現在金貸しのフーリンとフーリンにくっついて…

その可能性はすでに考えた

井上真偽市のその可能性はすでに考えたを読んだ。これは非常にユニークで面白い構成のミステリーだ。タイトルの「その可能性はすでに考えた」は探偵役のお決まりのセリフ。この小説の探偵役は上苙丞は外見は以下のように記述され、 見た目は碧眼白皙の美青年…

吉田松陰: 「日本」を発見した思想家

桐原健真氏の吉田松陰: 「日本」を発見した思想家を読んだ。本書は吉田松陰の思想がどのように変遷したかが主眼になっていて、吉田松陰自身の生涯にはあまり詳しくは触れていない。とはいっても、生い立ちなどはその人の人格を形成するうえでも重要であるの…