ミステリー
陸秋槎氏の元年春之祭を読んだ。現代中国人作家の書いたミステリーというのが私にとっては非常に新鮮だった。本文中に多数引用されている中国古典に関しては全く知識がなく、ちょっと読みにくい感じなのだが、ミステリーとしては謎を解くには中国古典の知識…
都筑道夫氏の朱漆の壁に血がしたたるを読んだ。本書は物部太郎シリーズの第三作目で、最終作だ。著者がなぜこのシリーズを継続しなかったのかはわからないが、この物部太郎シリーズは当時都筑氏が提唱していた「謎と論理のアクロバット」を実践するために書…
周木律氏の眼球堂の殺人を読んだ。眼球堂とは天才的な建築家である驫木煬がや家屋に建設した私邸だ。その屋敷に招待されたのが放浪の天才数学者十和田只人、そしてストーカーのように十和田にまとわりついき、半ば強引に同行してきたルポライターの陸奥藍子…
東川篤哉氏のライオンは仔猫に夢中を読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第三弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。最後の「あの夏の面影」は書き下ろし作品。 失われた靴…
東川篤哉氏のライオンの歌が聞こえるを読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第二弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。この回の各話のタイトルはそのものズバリ物語を言い表…
東川篤哉氏のライオンの棲む街(平塚おんな探偵の事件簿シリーズ)を読んだ。生野エルザと川島美伽の探偵コンビのシリーズの第一弾。川島美伽は東京でOLをしていたのだが、仕事に疲れ、恋に破れ、貯金を持っていかれた挙句、なぜか不況下に会社を退職した27歳…
詠坂雄二氏の「 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」を読んだ。リュミエールという映像制作会社のディレクターが本人も含めスタッフを6人連れて日本海の孤島にロケハンに出かけた。そこに案内した地元の漁師は翌日の昼に戻ってくる約束をして、島…
井上真偽氏の探偵が早すぎるを読んだ。この小説も読もうと思っていたのだが、後回しになってしまい、そうこうしているうちに日テレ系で18年の夏からドラマが始まってしまった。テレビドラマを見る前に小説を読むべきだと思い、テレビドラマの方は録画してお…
米澤穂信氏の満願を読んだ。この本も読もうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。先日NHKでこの小説をドラマ化したものが放送されていて、これはドラマを見るよりも先に本を読んでおくべきだなと思い読み始めた。米澤氏といえば日常の謎のミステリーとい…
桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回の…
桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、…
桜庭一樹氏のGOSICK BLUEを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第二弾だが、実は時系列が巻戻ってREDより前の話となる。ヴィクトリカと久城一弥は正に移民船で旧大陸から新大陸に向かい、まさにニューヨークに到着したところだった。なぜ彼らが旧大…
桜庭 一樹氏のGOSICK REDを読んだ。GOSICKの後に色がついてるシリーズはRED、BULE、PINK、GREENと4冊出ていて、このシリーズでの時代設定は1931年で、ヴィクトリカと久城一弥はニューヨークに移り住んでいる。ヴィクトリカはグレイウルフ探偵社の探偵を、一…
ピーター・トレメインの修道女フィデルマの探求を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…
ジーン ウルフの書架の探偵(原題 A Borrowed Man)を読んだ。 本書の主人公はE.A.スミス。職業は蔵者。蔵者とは蔵書になぞらえた言葉で、図書館に備えられている再生体(リクローン)で、その時代に蘇った文学者のことである。最初のE.A.スミスはミステリーの作…
斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけ…
相沢沙呼氏のマツリカ・マトリョシカを読んだ。2017年8月にこのシリーズのマツリカ・マジョルカとマツリカ・マハリタ を読んだのだが、その時はもともとの単行本の出版から時間が空いているから、このシリーズはもう出ないのだろうなと思っていた。だが、そ…
井上真偽氏の 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えたを読んだ。本書は奇跡を探求する上笠シリーズの2作目。今回は前半部分の事件発生編の所には上笠は全然登場しない。前巻にも登場していた元中国マフィアの一員、現在金貸しのフーリンとフーリンにくっついて…
井上真偽市のその可能性はすでに考えたを読んだ。これは非常にユニークで面白い構成のミステリーだ。タイトルの「その可能性はすでに考えた」は探偵役のお決まりのセリフ。この小説の探偵役は上苙丞は外見は以下のように記述され、 見た目は碧眼白皙の美青年…
ピーター・トレメインの修道女フィデルマの洞察を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…
斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~を読んだ。これはキネマ探偵カレイドミステリー - 隠居日録の続編で、探偵役は引きこもりの嗄井戸高久、語りで探偵助手役は奈緒崎と前作と同様。本書には3編収録されており、前作と同様に…
ピーター・トレメインの修道女フィデルマの叡智を読んだ。この小説も以下のページで紹介されていたフィデルマシリーズの一編。 池澤春菜が薦める文庫この新刊!|好書好日 本書の主人公で探偵役のフィデルマは実にユニークな設定になっている。時代は7世紀頃…
竹内真氏の図書室のピーナッツを読んだ。これは図書室のキリギリスの続編で、高校の図書室で本にまつわる日常の謎のミステリーだ。ストリーも前作の直後から始まっていて、完全なる続編と言った感じになっている。本作も連作短編で、サンタクロースの証明、…
竹内真氏の図書室のキリギリスを読んだ。高良詩織は大学時代の友人の井本つぐみのつてで高校の学校司書の職に就いた。詩織の夫が突如失踪して3年が経ち、法定離婚事由が成立し、離婚届が受理された。それを機に新たに職を探し始めたところ、運よく学校司書と…
逸木裕氏の虹を待つ彼女を読んだ。本書は第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作で、2016年9月に刊行された。プロローグでにおいて、2014年12月、ゲーム開発者の水科晴がドローン搭載された銃に撃たれて、死ぬ場面からストリーは始まる。その銃撃は水科晴が自身が…
何かの折に面白そうな本を見つけたときは、だいたいamazonのほしいものリストに追加しておく。多数溜まってきたら、エクセルのシートにコピーする。ほしいものリストは全ての本がいっぺんに見られないからだ。本を読もうと思った時はだいたいそのエクセルの…
本書には「半席」、「真桑瓜」、「六代目中村正蔵」、「蓼を喰う」、「見抜く者」、「役替え」の六編が収められている。実は表題作の半席は約定 - 隠居日録にも収められており、どういうことだろうと思っていたのだが、実は本作はその登場人物の片岡直人を主…
相沢沙呼のマツリカ・マハリタを読んだ。こちらはマツリカ・マジョルカ - 隠居日録の続編だ。本作では柴山祐希は二年生になっているが、マツリカは相変わらず学校に登校している様子もなく、廃ビルに住み着いている。柴山祐希の周りは少しずつ変わってきて、…
相沢沙呼氏のマツリカ・マジョルカを読んだ。日常の謎のミステリー。高校一年の柴山祐希はある日、高校の隣にある廃ビルの四階の窓から女子高生が身を乗り出しているのを発見する。自殺なのか?と訝しみながら、その部屋を訪れると、年上と思しき女子高生がい…
冲方丁氏の十二人の死にたい子どもたちを読んだ。ある目的をもって廃棄された病院に集った六人の少年と六人の少女。合わせて十二人。なぜ、彼らの人数を十二人にしたのかは、「怒れる十二人の男たち」に合わせて作者は十二人にしたのだろう。登場人物からは…