隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ミステリー

Iの悲劇

米澤穂信氏のIの悲劇を読んだ。周辺市町村が合併して誕生した南はかま市。その東側に位置した旧・間野市の更に東端に蓑石という村があった。市街地を抜け、交通量の少ない山道を渓流に沿って進んでいくと、左右から暗い山が迫ってくる。道が消えてしまうよう…

生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者

アンドリュー・メインの生物学探偵セオ・クレイ 森の捕食者(原題 The Naturalist)を読んだ。アメリカの北西部、カナダとの故郷に位置するモンタナ州、その山中のフィールドワークをしていた生物情報工学の教授であるセオ・クレイはジョニパー・パーソンズの…

まほり

高田大介氏のまほりを読んだ。まほりが何を意味するかに触れてしまうと、ネタバレになってしまうので書けない。途中で末保利のことだというのがわかるのだが、実はこれは万葉仮名で書いているだけで、それが何であるかを表していない。この物語は二人の視点…

medium 霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼氏のmedium 霊媒探偵城塚翡翠を読んだ。推理作家の香月史郎は大学時代のサークルの後輩である倉持結花に頼まれて同行した先で霊媒師の城塚翡翠に会った。霊媒師の彼女は、死者の匂いを感じることができるという。結花は町中の占い師に見てもらってか…

インソムニア

辻寛之氏のインソムニアを読んだ。物語は、2017年2月、アフリカ中央部に位置する南ナイルランドで平和維持活動に従事する自衛隊に、現地で活動する国際NGOから緊急要請が入ったところから始まる。ジュベルを拠点に医療分野で活動するNGOの移動診療車両が行方…

雪が白いとき、かつそのときに限り

陸秋槎氏の雪が白いとき、かつそのときに限り(原題 当且仅当雪是白的)を読んだ。このミステリーには2つの事件が描かれている。5年前の事件と、そして、今回の事件。これらの事件は中国南部のZ市の高校で、冬の雪の降った真夜中に起きた。事件発生時には雪は…

落語推理 迷宮亭

落語推理 迷宮亭を読んだ。本書は落語とミステリーを合わせたアンソロジーになっていて、収録作は「変調二人羽織(連城三紀彦)」、「貧乏花見殺人事件(我孫子武丸)」、「崇徳院(伽古屋圭市)」、「幻燈(快楽亭ブラック)」、「落語家変相図(大下宇陀字)」、「落…

早朝始発の殺風景

青崎有吾氏の早朝始発の殺風景を読んだ。いわゆる日常のミステリーの連作短編集。千葉県の幕張あたりにある架空の沿線を舞台にした日常のミステリーで、登場人物がその沿線にある高校の学生というのが共通の設定になっている。収録作品は、「早朝始発の殺風…

虚構推理 スリーピング・マーダー

城平京氏の虚構推理 スリーピング・マーダーを読んだ。虚構推理シリーズの3作目。妖怪や化け物から相談を受ける「知恵の神」である岩永琴子と件と人魚を食べたことにより、予知能力と不老不死の力を得た桜川九郎のコンビのミステリー。そう、今回はミステリ…

刀と傘

伊吹亜門氏の刀と傘を読んだ。これは連作短編のミステリーで、幕末から明治の最初の頃が舞台になっている。そして、一方の主人公が実在の人物である江藤新平で、もう一人の主人公が架空に人物と思われる尾張藩公用人の狩野師光である。この二人が探偵役なの…

ノースライト

横山秀夫氏のノースライトを読んだ。これは北上ラジオの第3回目で紹介されていた。www.youtube.com横山秀夫氏というと警察小説で、主人公は捜査関係の刑事ではない警察職員というイメージがあったのだが、この小説はミステリーではあるが、日常のミステリー…

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

降田天氏の偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理を読んだ。これは短編集で、倒叙物のミステリーだ。ストーリーの前半は犯人によって物語が語られていくが、後半に入ると、神倉駅前交番に勤務する狩野雷太が登場して、犯人と狩野の対決(と言っても、話し好き…

虚構推理短編集 岩永琴子の出現

城平京氏の虚構推理短編集 岩永琴子の出現を読んだ。前作を読んでから3年も経過しているので、前作の事はあまり記憶に残っていないのだが、前作を読んでいなくても、本作を読むのに問題はなかった。ストーリー的には完全に独立した短編集になっている。妖怪…

乗客ナンバー23の消失

セバスチャン フィツェックの乗客ナンバー23の消失(原題 PASSENGER 23)を読んだ。ドイツ人の潜入捜査官マルティン・シュヴァルツはある出来事をきっかけに、本当に命知らずの危険な任務に就いていた。そして、今回も危険な潜入捜査を終えたところに、見知ら…

本と鍵の季節

米澤穂信氏の本と鍵の季節を読んだ。本作は、八王子にある高校の図書委員が主人公の日常のミステリーで、短編集になっている。収録されている各短編のタイトルは「913」(暗号)、「ロックオン」、「金曜日に彼は何をしたのか」(アリバイ)、「ない本」、「昔話…

数字を一つ思い浮かべろ

ジョン ヴァードンの数字を一つ思い浮かべろ (原題 Think of a number)を読んだ。退職した刑事デイブ・バーニーのもとに大学時代の同級生であるマーク・メレリーから不可解な謎が持ち込まれた。「1000までの数字を一つ思い浮かべろ」という手紙をメレリーは…

世界を売った男

陳浩基氏の世界を売った男(原題 遺忘・刑警)を読んだ。小説の冒頭は刑事が殺人事件の現場検証をしている場面から始まる。何者かが夫婦を刃物で殺害したようだった。死体は切り刻まれ血だまりができている。しかも、妻の方は妊娠中の様で、お腹の中には赤ちゃ…

元年春之祭

陸秋槎氏の元年春之祭を読んだ。現代中国人作家の書いたミステリーというのが私にとっては非常に新鮮だった。本文中に多数引用されている中国古典に関しては全く知識がなく、ちょっと読みにくい感じなのだが、ミステリーとしては謎を解くには中国古典の知識…

朱漆の壁に血がしたたる

都筑道夫氏の朱漆の壁に血がしたたるを読んだ。本書は物部太郎シリーズの第三作目で、最終作だ。著者がなぜこのシリーズを継続しなかったのかはわからないが、この物部太郎シリーズは当時都筑氏が提唱していた「謎と論理のアクロバット」を実践するために書…

眼球堂の殺人

周木律氏の眼球堂の殺人を読んだ。眼球堂とは天才的な建築家である驫木煬がや家屋に建設した私邸だ。その屋敷に招待されたのが放浪の天才数学者十和田只人、そしてストーカーのように十和田にまとわりついき、半ば強引に同行してきたルポライターの陸奥藍子…

ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~

東川篤哉氏のライオンは仔猫に夢中を読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第三弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。最後の「あの夏の面影」は書き下ろし作品。 失われた靴…

ライオンの歌が聞こえる 平塚おんな探偵の事件簿2

東川篤哉氏のライオンの歌が聞こえるを読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第二弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。この回の各話のタイトルはそのものズバリ物語を言い表…

ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1

東川篤哉氏のライオンの棲む街(平塚おんな探偵の事件簿シリーズ)を読んだ。生野エルザと川島美伽の探偵コンビのシリーズの第一弾。川島美伽は東京でOLをしていたのだが、仕事に疲れ、恋に破れ、貯金を持っていかれた挙句、なぜか不況下に会社を退職した27歳…

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

詠坂雄二氏の「 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」を読んだ。リュミエールという映像制作会社のディレクターが本人も含めスタッフを6人連れて日本海の孤島にロケハンに出かけた。そこに案内した地元の漁師は翌日の昼に戻ってくる約束をして、島…

探偵が早すぎる

井上真偽氏の探偵が早すぎるを読んだ。この小説も読もうと思っていたのだが、後回しになってしまい、そうこうしているうちに日テレ系で18年の夏からドラマが始まってしまった。テレビドラマを見る前に小説を読むべきだと思い、テレビドラマの方は録画してお…

満願

米澤穂信氏の満願を読んだ。この本も読もうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。先日NHKでこの小説をドラマ化したものが放送されていて、これはドラマを見るよりも先に本を読んでおくべきだなと思い読み始めた。米澤氏といえば日常の謎のミステリーとい…

GOSICK GREEN

桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回の…

GOSICK PINK

桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、…

GOSICK BLUE

桜庭一樹氏のGOSICK BLUEを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第二弾だが、実は時系列が巻戻ってREDより前の話となる。ヴィクトリカと久城一弥は正に移民船で旧大陸から新大陸に向かい、まさにニューヨークに到着したところだった。なぜ彼らが旧大…

GOSICK RED

桜庭 一樹氏のGOSICK REDを読んだ。GOSICKの後に色がついてるシリーズはRED、BULE、PINK、GREENと4冊出ていて、このシリーズでの時代設定は1931年で、ヴィクトリカと久城一弥はニューヨークに移り住んでいる。ヴィクトリカはグレイウルフ探偵社の探偵を、一…