隠居日録

隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ミステリー

かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

宮内悠介氏のかくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖を読んだ。この作品は連作短編ミステリーで、著者自身が第一話の覚書で明かしているように、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」の形式を明治時代の実在の芸術家のパンの会に当てはめている。メイ…

密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリック

鴨崎暖炉氏の密室黄金時代の殺人 雪の館と六つのトリックを読んだ。本書は、 「密室の不解証明は、現場の不在証明と同等の価値がある」 という事が裁判所により認定された世界での密室を扱ったミステリーだ。そういう意味ではある種の特殊な世界でのミステリ…

名探偵と海の悪魔

スチュアート・タートンの名探偵と海の悪魔を読んだ。タートンは非常にトリッキーな「イブリン嬢は7回殺される」でデビューした作家で、本作は第2作目だ。「イブリン嬢は7回殺される」と比べると「名探偵と海の悪魔」はオーソドックスなつくりになっていて、…

蝶として死す

羽生飛鳥氏の蝶として死す 平家物語推理抄を読んだ。時代は平安末期の頃で、いわゆる平家が台頭し滅んでいく頃である。池殿流平家の頼盛を主人公にして、頼盛に降りかかってくる難題を何とか知恵でかわしていくというミステリーが本書の概略だ。頼盛は清盛の…

北緯43度のコールドケース

伏尾美紀氏の北緯43度のコールドケースを読んだ。本作は第67回江戸川乱歩賞受賞作である。物語の舞台は札幌の警察であり、タイトルに「コールドケース」とついているように未解決事件を扱ったミステリーだ。物語は取り壊されることになっていた倉庫で少女の…

純喫茶「一服堂」の四季

東川篤哉氏の純喫茶「一服堂」の四季を読んだ。本書は短編集で、4編収録されたおり、「春の十字架」、「もっとも猟奇的な夏」、「ひり取られた死体の秋」、「バラバラ死体と密室の冬」がそれぞれのタイトルだ。この作品は一服堂という純喫茶を父親から譲り受…

朝と夕の犯罪

降田天氏の朝と夕の犯罪を読んだ。この本もどこかで紹介を読んで面白そうだったので、読んだのだが、例によって、読もうと思った時と実際に読み始めた時の間が空いているので、内容に関してはどのようなものだか全然わからない状態で読み始めた。作者の名前…

カミサマはそういない

深緑野分氏のカミサマはそういないを読んだ。本書は短編集で、「伊藤が消えた」、「潮風が吹いて、ゴンドラ揺れる」、「朔日晦日」、「見張り塔」、「ストーカーVS盗撮魔」、「饑奇譚」、「新しい音楽、海賊ラジオ」が収録されている。ミステリーの短編集だ…

廃遊園地の殺人

斜線堂有紀氏の廃遊園地の殺人を読んだ。X県Y市の天衝村に建設されたテーマパークのイリュジオランドはある事件がきっかけとなり、正式オープンされる前に閉園が決まってしまった。その事件とは地元住民を招いて開かれたプレオープンの時に銃乱射事件が発生…

invert 城塚翡翠倒叙集

相沢沙呼氏のinvert 城塚翡翠倒叙集を読んだ。あの城塚翡翠の続編が出るとは思っていなかったので、かなり意外だった。というのも、前作の構成があまりにも見事で、あの構成を踏襲した形での続編は無理だと思ったからだ。なので、この作品はタイトルのように…

三月は深き紅の淵を

恩田陸氏の「三月は深き紅の淵を」を読んだ。このタイトルからはどのような内容なのか全くわからない。読んだ後でも、このタイトルは何を意味しているのかよくわからない。この小説は4つの短編から成り立っている。が、その前にロワルド・ダールのチャーリー…

第八の探偵

アレックス・パヴェージの第八の探偵(原題 Eight Detectives)を読んだ。原題の意味するところは八人の探偵なのに日本語のタイトルが第八の探偵になっているのは、アメリカ版のタイトルが"The Eighth Detective"になっているのに倣っためなのだろうか。この小…

黒牢城

米澤穂信氏の黒牢城を読んだ。天正6(1578)年10月、荒木村重は有岡城に籠城し、突如、信長に対して反旗を翻した。黒田孝高(官兵衛)は村重を翻意させるために有岡城に乗り込んだが、成功せず、城から追い払われることもなく、あるいは殺されることもなく、土牢…

薔薇のなかの蛇

恩田陸氏の薔薇のなかの蛇を読んだ。舞台はイギリスで、ケルトの遺跡のある地方での出来事が最初の「序章」で語られる。その遺跡の祭壇に切断された人体が置かれていたのだ。どう考えてもこれは殺人事件だろう。第一章では場所が変わって、納屋を改造した音…

法の雨

下村敦史氏の法の雨を読んだ。検察が起訴した事件の有罪率は99.7%だ。しかし、高等検察庁の検事の大神は同じ判事から3度無罪を言い渡された。その裁判官は年間15件もの無罪判決を言い渡していて、無罪病判事と揶揄されていた。そして、更に次の担当の二審裁…

へんぶつ侍、江戸を走る

亀泉きょう氏のへんぶつ侍、江戸を走る。本作の主人公は明楽久兵衛で、将軍様の駕籠担ぎである御駕籠之者組に属する御家人なのだが、今でいうところのアイドルオタクで、深川芸者の愛乃に入れ込んでいる。なので組中の同輩からは変物と呼ばれている。今日も…

新 謎解きはディナーのあとで

東川篤哉氏の新 謎解きはディナーのあとでを読んだ。警視庁国立署の刑事宝生麗子は実は巨大複合企業「宝生グループ」のご令嬢という設定の連作ミステリー。風祭モータースの御曹司である風祭警部の許事件解決に励むのだが、いい加減な風祭警部の推理が間違っ…

アウターQ 弱小Webマガジンの事件簿

澤村伊智氏のアウターQ 弱小Webマガジンの事件簿を読んだ。本書はWebマガジンの駆け出しライターの湾沢陸男が取材中に出くわした事件に関するミステリーだ。短編集で「笑う露死獣」、「歌うハンバーガー」、「飛ぶストーカーとアイドル」、「目覚める死者た…

文学少女対数学少女

陸秋槎氏の文学少女対数学少女を読んだ。本書は雪が白いとき、かつそのときに限りの訳者あとがきに書かれていた、作者と同姓同名の女子高生が主人公のミステリーだ。私は中国人の名前に関しては全く詳しくないので、秋槎というのが女性向きの名前なのか、男…

泳ぐ者

青山文平氏の泳ぐ者を読んだ。本書は半席に登場した片岡直人を主人公とするミステリーで、前巻同様に事件の裏に潜む「なぜ」をあぶりだすのが物語の肝になっている。前巻は短編集だったが、本作は長編で、中に2つの「なぜ」が含まれている。一つ目は、六十歳…

ブックキーパー 脳男

首藤瓜於氏のブックキーパー 脳男を読んだ。本作は北上ラジオ33回で紹介されていた。www.youtube.comうーむ。またしてもシリーズ物の紹介だ。本作は脳男のタイトルがついている先行作品が二作あり、本作は三作目だ。 だが、前二作を読んでいなくても十分内容…

詐欺師は天使の顔をして

斜線堂有紀氏の詐欺師は天使の顔をしてを読んだ。本書は特殊状況ミステリーだ。2つの中編のミステリーが収録されている。子規冴昼は一世を風靡した霊能力者だったが、突然失踪してしまった。マネージャーの呉塚要も八方手を尽くして探したが、その行方は杳と…

戯作屋伴内捕物ばなし

稲葉一広氏の戯作屋伴内捕物ばなしを読んだ。本書は時代小説とミステリーを融合したハヤカワ時代ミステリ文庫でハヤカワ文庫JAの中のサブカテゴリなのだと思う。2019年の夏から刊行を開始しているようだ。本書の主人公は戯作者(本人は戯作屋と称しているが)…

向日葵を手折る

彩坂美月氏の向日葵を手折るを読んだ。本書は北上ラジオの第30回目で紹介されていた。 www.youtube.com物語は、小学六年生の高橋みのりが山形の桜沢という集落にやってくるところから始まる。みのりの父がくも膜下出血で突然亡くなり、母親の故郷にいる祖母…

谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題

東川篤哉氏の谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題を読んだ。本書は鰯のツミレならぬ岩篠つみれが狂言回しとなっている短編ミステリー。岩篠つみれの兄が岩篠なめ郎で、その兄は鰯の吾郎という鰯専門の海鮮居酒屋を谷中で開いている。その谷中を舞台にし…

夜の声を聴く

宇佐美まこと氏の夜の声を聴くを読んだ。この作品は北上ラジオの第23回で紹介されていた。www.youtube.comラジオの中でも言及されているが、不思議な構成のミステリーだ。連作短編のような感じの作りになっているのだが、それぞれのエピソードにタイトルがつ…

オーブランの少女

深緑野分氏のオーブランの少女を読んだ。著者のデビュー短編集で、「オーブランの少女」、「仮面」、「大雨とトマト」、「片思い」、「氷の皇国」の5編が収録されている。それぞれ、異なった味わいの短編なのだが、あえて言えば、最初の「オーブランの少女」…

贖いのリミット

カリン・スローターの贖いのリミット(原題 THE KEPT WOMAN)を読んだ。この作品は北上ラジオ第12回で紹介されていた。www.youtube.com本書はウィル・トレントシリーズの第8作で、北上ラジオでは「シリーズ物の一作ではあるが独立したストーリーなので、これだ…

楽園とは探偵の不在なり

斜線堂有紀氏の楽園とは探偵の不在なりを読んだ。この小説は、 一人を殺しても地獄に堕ちないが、二人殺せば地獄行き という特殊な世界を舞台にしたミステリーだ。二人の人を殺すと、どこからか天使がやってきて、燃え盛る地面に押さえ込んで、地獄に引きず…

戦場のコックたち

深緑野分氏の戦場のコックたちを読んだ。この本は単行本が出版されたときに、確か本の雑誌でも取り上げられていて、おもしろそうだと思った記憶があり、読もうと思った記憶もあるのだが、今まで読んでいなかった。すっかり忘れていたのだ。単行本の出版が201…