隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ミステリー

刀と傘

伊吹亜門氏の刀と傘を読んだ。これは連作短編のミステリーで、幕末から明治の最初の頃が舞台になっている。そして、一方の主人公が実在の人物である江藤新平で、もう一人の主人公が架空に人物と思われる尾張藩公用人の狩野師光である。この二人が探偵役なの…

ノースライト

横山秀夫氏のノースライトを読んだ。これは北上ラジオの第3回目で紹介されていた。本の雑誌 Presents 北上ラジオ 第3回 - YouTube横山秀夫氏というと警察小説で、主人公は捜査関係の刑事ではない警察職員というイメージがあったのだが、この小説はミステリ…

偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理

降田天氏の偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理を読んだ。これは短編集で、倒叙物のミステリーだ。ストーリーの前半は犯人によって物語が語られていくが、後半に入ると、神倉駅前交番に勤務する狩野雷太が登場して、犯人と狩野の対決(と言っても、話し好き…

虚構推理短編集 岩永琴子の出現

城平京氏の虚構推理短編集 岩永琴子の出現を読んだ。前作を読んでから3年も経過しているので、前作の事はあまり記憶に残っていないのだが、前作を読んでいなくても、本作を読むのに問題はなかった。ストーリー的には完全に独立した短編集になっている。妖怪…

乗客ナンバー23の消失

セバスチャン フィツェックの乗客ナンバー23の消失(原題 PASSENGER 23)を読んだ。ドイツ人の潜入捜査官マルティン・シュヴァルツはある出来事をきっかけに、本当に命知らずの危険な任務に就いていた。そして、今回も危険な潜入捜査を終えたところに、見知ら…

本と鍵の季節

米澤穂信氏の本と鍵の季節を読んだ。本作は、八王子にある高校の図書委員が主人公の日常のミステリーで、短編集になっている。収録されている各短編のタイトルは「913」(暗号)、「ロックオン」、「金曜日に彼は何をしたのか」(アリバイ)、「ない本」、「昔話…

数字を一つ思い浮かべろ

ジョン ヴァードンの数字を一つ思い浮かべろ (原題 Think of a number)を読んだ。退職した刑事デイブ・バーニーのもとに大学時代の同級生であるマーク・メレリーから不可解な謎が持ち込まれた。「1000までの数字を一つ思い浮かべろ」という手紙をメレリーは…

世界を売った男

陳浩基氏の世界を売った男(原題 遺忘・刑警)を読んだ。小説の冒頭は刑事が殺人事件の現場検証をしている場面から始まる。何者かが夫婦を刃物で殺害したようだった。死体は切り刻まれ血だまりができている。しかも、妻の方は妊娠中の様で、お腹の中には赤ちゃ…

元年春之祭

陸秋槎氏の元年春之祭を読んだ。現代中国人作家の書いたミステリーというのが私にとっては非常に新鮮だった。本文中に多数引用されている中国古典に関しては全く知識がなく、ちょっと読みにくい感じなのだが、ミステリーとしては謎を解くには中国古典の知識…

朱漆の壁に血がしたたる

都筑道夫氏の朱漆の壁に血がしたたるを読んだ。本書は物部太郎シリーズの第三作目で、最終作だ。著者がなぜこのシリーズを継続しなかったのかはわからないが、この物部太郎シリーズは当時都筑氏が提唱していた「謎と論理のアクロバット」を実践するために書…

眼球堂の殺人

周木律氏の眼球堂の殺人を読んだ。眼球堂とは天才的な建築家である驫木煬がや家屋に建設した私邸だ。その屋敷に招待されたのが放浪の天才数学者十和田只人、そしてストーカーのように十和田にまとわりついき、半ば強引に同行してきたルポライターの陸奥藍子…

ライオンは仔猫に夢中 ~平塚おんな探偵の事件簿3~

東川篤哉氏のライオンは仔猫に夢中を読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第三弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。最後の「あの夏の面影」は書き下ろし作品。 失われた靴…

ライオンの歌が聞こえる 平塚おんな探偵の事件簿2

東川篤哉氏のライオンの歌が聞こえるを読んだ。本書は平塚おんな探偵の事件簿シリーズの第二弾。前回と同様に探偵のエルザと助手の美伽のコンビが事件を解決していく。今回も短編集で4作収録されている。この回の各話のタイトルはそのものズバリ物語を言い表…

ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1

東川篤哉氏のライオンの棲む街(平塚おんな探偵の事件簿シリーズ)を読んだ。生野エルザと川島美伽の探偵コンビのシリーズの第一弾。川島美伽は東京でOLをしていたのだが、仕事に疲れ、恋に破れ、貯金を持っていかれた挙句、なぜか不況下に会社を退職した27歳…

T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか

詠坂雄二氏の「 T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか」を読んだ。リュミエールという映像制作会社のディレクターが本人も含めスタッフを6人連れて日本海の孤島にロケハンに出かけた。そこに案内した地元の漁師は翌日の昼に戻ってくる約束をして、島…

探偵が早すぎる

井上真偽氏の探偵が早すぎるを読んだ。この小説も読もうと思っていたのだが、後回しになってしまい、そうこうしているうちに日テレ系で18年の夏からドラマが始まってしまった。テレビドラマを見る前に小説を読むべきだと思い、テレビドラマの方は録画してお…

満願

米澤穂信氏の満願を読んだ。この本も読もうと思っていたのだが、すっかり忘れていた。先日NHKでこの小説をドラマ化したものが放送されていて、これはドラマを見るよりも先に本を読んでおくべきだなと思い読み始めた。米澤氏といえば日常の謎のミステリーとい…

GOSICK GREEN

桜庭一樹氏のGOSICK GREENを読んだ。グレイウルフ探偵社シリーズ第四弾。2013年から年末に毎年刊行されていたのだが、昨年の2017年には出版されなかった。一時休止なのか、暫く休止なのかわわからない。今回の時間軸は前作のPINKの翌日になっている。今回の…

GOSICK PINK

桜庭一樹氏のGOSICK PINKを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第三弾だが、時系列はBLUEの翌日になっている。GOSICK BLUEの事件での翌日、一弥はヴィクトリカと連れ立ってニューヨークの町に出た。第一の目的は仕事探し、それから住居探し。だが、…

GOSICK BLUE

桜庭一樹氏のGOSICK BLUEを読んだ。GOSICKの新大陸グレイウルフ探偵社編第二弾だが、実は時系列が巻戻ってREDより前の話となる。ヴィクトリカと久城一弥は正に移民船で旧大陸から新大陸に向かい、まさにニューヨークに到着したところだった。なぜ彼らが旧大…

GOSICK RED

桜庭 一樹氏のGOSICK REDを読んだ。GOSICKの後に色がついてるシリーズはRED、BULE、PINK、GREENと4冊出ていて、このシリーズでの時代設定は1931年で、ヴィクトリカと久城一弥はニューヨークに移り住んでいる。ヴィクトリカはグレイウルフ探偵社の探偵を、一…

修道女フィデルマの探求

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの探求を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

書架の探偵

ジーン ウルフの書架の探偵(原題 A Borrowed Man)を読んだ。 本書の主人公はE.A.スミス。職業は蔵者。蔵者とは蔵書になぞらえた言葉で、図書館に備えられている再生体(リクローン)で、その時代に蘇った文学者のことである。最初のE.A.スミスはミステリーの作…

キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけ…

マツリカ・マトリョシカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マトリョシカを読んだ。2017年8月にこのシリーズのマツリカ・マジョルカとマツリカ・マハリタ を読んだのだが、その時はもともとの単行本の出版から時間が空いているから、このシリーズはもう出ないのだろうなと思っていた。だが、そ…

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた

井上真偽氏の 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えたを読んだ。本書は奇跡を探求する上笠シリーズの2作目。今回は前半部分の事件発生編の所には上笠は全然登場しない。前巻にも登場していた元中国マフィアの一員、現在金貸しのフーリンとフーリンにくっついて…

その可能性はすでに考えた

井上真偽市のその可能性はすでに考えたを読んだ。これは非常にユニークで面白い構成のミステリーだ。タイトルの「その可能性はすでに考えた」は探偵役のお決まりのセリフ。この小説の探偵役は上苙丞は外見は以下のように記述され、 見た目は碧眼白皙の美青年…

修道女フィデルマの洞察

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの洞察を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~を読んだ。これはキネマ探偵カレイドミステリー - 隠居日録の続編で、探偵役は引きこもりの嗄井戸高久、語りで探偵助手役は奈緒崎と前作と同様。本書には3編収録されており、前作と同様に…

修道女フィデルマの叡智

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの叡智を読んだ。この小説も以下のページで紹介されていたフィデルマシリーズの一編。 池澤春菜が薦める文庫この新刊!|好書好日 本書の主人公で探偵役のフィデルマは実にユニークな設定になっている。時代は7世紀頃…