隠居日録

2016年(世にいう平成28年)、発作的に会社を辞め、隠居生活に入る。日々を読書と散歩に費やす

ミステリー

書架の探偵

ジーン ウルフの書架の探偵(原題 A Borrowed Man)を読んだ。 本書の主人公はE.A.スミス。職業は蔵者。蔵者とは蔵書になぞらえた言葉で、図書館に備えられている再生体(リクローン)で、その時代に蘇った文学者のことである。最初のE.A.スミスはミステリーの作…

キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

斜線堂有紀氏の「キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~」を読んだ。キネマ探偵シリーズの三冊目。この巻でこのシリーズも終了を迎えたのだと思うがどうなのだろう。続きを書くことは可能だと思うが、いずれにしても、一つの区切りをつけ…

マツリカ・マトリョシカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マトリョシカを読んだ。2017年8月にこのシリーズのマツリカ・マジョルカとマツリカ・マハリタ を読んだのだが、その時はもともとの単行本の出版から時間が空いているから、このシリーズはもう出ないのだろうなと思っていた。だが、そ…

聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた

井上真偽氏の 聖女の毒杯 その可能性はすでに考えたを読んだ。本書は奇跡を探求する上笠シリーズの2作目。今回は前半部分の事件発生編の所には上笠は全然登場しない。前巻にも登場していた元中国マフィアの一員、現在金貸しのフーリンとフーリンにくっついて…

その可能性はすでに考えた

井上真偽市のその可能性はすでに考えたを読んだ。これは非常にユニークで面白い構成のミステリーだ。タイトルの「その可能性はすでに考えた」は探偵役のお決まりのセリフ。この小説の探偵役は上苙丞は外見は以下のように記述され、 見た目は碧眼白皙の美青年…

修道女フィデルマの洞察

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの洞察を読んだ。本書はの主人公のフィデルマは修道女であり、アイルランド5王国のひとつモアン国の王位継承予定者の妹であり、法廷弁護士(ドーリィー)でもある。しかも、場合によっては裁判官として判決を下すことも…

キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~を読んだ。これはキネマ探偵カレイドミステリー - 隠居日録の続編で、探偵役は引きこもりの嗄井戸高久、語りで探偵助手役は奈緒崎と前作と同様。本書には3編収録されており、前作と同様に…

修道女フィデルマの叡智

ピーター・トレメインの修道女フィデルマの叡智を読んだ。この小説も以下のページで紹介されていたフィデルマシリーズの一編。 コラム別に読む : 池澤春菜が薦める文庫この新刊! - 池澤春菜(声優・コラムニスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト…

図書室のピーナッツ

竹内真氏の図書室のピーナッツを読んだ。これは図書室のキリギリスの続編で、高校の図書室で本にまつわる日常の謎のミステリーだ。ストリーも前作の直後から始まっていて、完全なる続編と言った感じになっている。本作も連作短編で、サンタクロースの証明、…

図書室のキリギリス

竹内真氏の図書室のキリギリスを読んだ。高良詩織は大学時代の友人の井本つぐみのつてで高校の学校司書の職に就いた。詩織の夫が突如失踪して3年が経ち、法定離婚事由が成立し、離婚届が受理された。それを機に新たに職を探し始めたところ、運よく学校司書と…

虹を待つ彼女

逸木裕氏の虹を待つ彼女を読んだ。本書は第36回横溝正史ミステリ大賞受賞作で、2016年9月に刊行された。プロローグでにおいて、2014年12月、ゲーム開発者の水科晴がドローン搭載された銃に撃たれて、死ぬ場面からストリーは始まる。その銃撃は水科晴が自身が…

QJKJQ

何かの折に面白そうな本を見つけたときは、だいたいamazonのほしいものリストに追加しておく。多数溜まってきたら、エクセルのシートにコピーする。ほしいものリストは全ての本がいっぺんに見られないからだ。本を読もうと思った時はだいたいそのエクセルの…

半席

本書には「半席」、「真桑瓜」、「六代目中村正蔵」、「蓼を喰う」、「見抜く者」、「役替え」の六編が収められている。実は表題作の半席は約定 - 隠居日録にも収められており、どういうことだろうと思っていたのだが、実は本作はその登場人物の片岡直人を主…

マツリカ・マハリタ

相沢沙呼のマツリカ・マハリタを読んだ。こちらはマツリカ・マジョルカ - 隠居日録の続編だ。本作では柴山祐希は二年生になっているが、マツリカは相変わらず学校に登校している様子もなく、廃ビルに住み着いている。柴山祐希の周りは少しずつ変わってきて、…

マツリカ・マジョルカ

相沢沙呼氏のマツリカ・マジョルカを読んだ。日常の謎のミステリー。高校一年の柴山祐希はある日、高校の隣にある廃ビルの四階の窓から女子高生が身を乗り出しているのを発見する。自殺なのか?と訝しみながら、その部屋を訪れると、年上と思しき女子高生がい…

十二人の死にたい子どもたち

冲方丁氏の十二人の死にたい子どもたちを読んだ。ある目的をもって廃棄された病院に集った六人の少年と六人の少女。合わせて十二人。なぜ、彼らの人数を十二人にしたのかは、「怒れる十二人の男たち」に合わせて作者は十二人にしたのだろう。登場人物からは…

さらば愛しき魔法使い

東川篤哉氏の「さらば愛しき魔法使い」を読んだ。本書は魔法使いマリィシリーズの三巻目。本巻には以下の四編が収録されている。 魔法使いと偽りのドライブ 弁護士の犯罪 魔法使いと聖夜の贈り物 映画評論家の犯罪 魔法使いと血文字の罠 バーオーナーの犯罪 …

魔法使いと刑事たちの夏

東川篤哉氏の「魔法使いと刑事たちの夏」を読んだ。こちらは魔法使いマリィシリーズの2作目。前作の最後で、マリィーは小山田刑事の家に住むことになったのだが、本書ではその通りに、無駄に大きく近所の悪ガキからは幽霊屋敷と呼ばれている家に家政婦とし…

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?

東川篤哉氏の「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」を読んだ。本書は魔法使いと刑事が登場するミステリーだ。魔法使いが登場してミステリーが成立するのだろうかという危惧もあるが、本書は倒叙ミステリーになっていて、犯人自体は物語の最初で明らかになって…

キネマ探偵カレイドミステリー

斜線堂有紀氏のキネマ探偵カレイドミステリーを読んだ。タイトルから分かるように映画を題材にしたライトなアームチェアーディテクテブミステリー。短編が4編収録されている。大学生の奈緒崎はドイツ語の単位を救済してもらう代わりに、教授から引きこもりの…

図書館の魔女 烏の伝言

高田大介氏の図書館の魔女 烏の伝言を読んだ。本書も厚く、658ページもある大ボリュームだ。ただ、本作は上下巻ではなく、本巻のみ。前作の図書館の魔女の終わりの所は次に続く物語のプロローグ的な感じになっていたので、その続きの話なのだろうかとも思っ…

ひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇

初野晴氏のひとり吹奏楽部 ハルチカ番外篇を読んだ。映画が公開されたから、それに合わせて出版されたのだろうと想像する。4編プラス短い掌編が収録されていて、番外編と銘打つだけあって、普門館を目指す吹奏楽部の活動から離れて、吹奏楽部のメンバーから…

ロートケプシェン、こっちにおいで

相沢沙呼氏のロートケプシェン、こっちにおいでを読んだ。本書は午前零時のサンドリヨンの続編だ。本書も連作短編となっており、5編が収録されているのだが、メインのストーリーの前に「トモ」と呼ばれている少女のモノーローグ文が挿入されており、その少女…

午前零時のサンドリヨン

相沢沙呼氏の午前零時のサンドリヨンを読んだ。本作は第十九回鮎川哲也賞受賞作だ。本書には四編が収められており、連作短編の形式になっている。高校一年の須川が一目ぼれしたクラスメート酉野初はマジシャンだった。レストランバー「サンドリヨン」で客に…

真実の10メートル手前

米澤穂信氏の真実の10メートル手前を読んだ。これも語り手の視点は作品ごとに異なるが、大刀洗万智シリーズの作品だ。短編集で6作品収録されており、表題作の「真実の10メートル手前」のみが新聞社勤務時代の設定で、それ以外は新聞社を辞めてフリーになった…

王とサーカス

米澤穂信氏の王とサーカスを読んだ。さよなら妖精から10年後、大刀洗万智は務めていた東洋新聞社を辞め、フリーのジャーナリストになったばかりだった。フリージャーナリストとして雑誌の旅行記事の仕事をする予定になっていたが、仕事が始まるまでまだ時間…

さよなら妖精(単行本新装版)

米澤穂信氏のさよなら妖精を読んだ。主な登場人物は守屋路行、大刀洗万智、白河いずる、文原竹彦、そしてマーヤ。守屋と大刀洗は雨の降る日に偶然雨宿りしていたマーヤと出会う。そこから物語が始まった。だが、語られる物語は時間軸をさかのぼることになる…

向こう側の遊園

初野晴氏の向こう側の遊園を読んだ。本書は何とも不思議なミステリーだ。閉演して打ち捨てられた遊園地の花園を管理するする青年がいる。その花園には動物のための秘密の霊園があり、青年が管理している。青年は依頼者から話を聞き、埋葬する代わりに一番大…

最長不倒距離

都筑道夫氏の最長不倒距離を読んだ。本書は物部太郎シリーズの2作目だ。この本も過去の何度か読んでいるが、久しぶりに読み返してみた。 一作目の最後の所で、物部太郎の父親が勝手に引き受けてしまった捜査をするために、片岡直次郎と物部太郎は長野県のス…

七十五羽の烏

都筑道夫氏の七十五羽の烏を読んだ。この本は既に数回読んでおり、今回久しぶりに読んだ。 ものぐさ太郎の子孫を自称する働くことが大っ嫌いな物部太郎が、父親からの働けというプレッシャーをかわすために、何でも屋の片岡直二郎に依頼して開設したゴースト…